シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

姉妹サイト「シリコンバレーをよむ」もぜひご訪問ください

Zoom タウンに住みたい!(オレンジティア)

新しい造語を知った。その名も Zoom タウン。

米国の有名企業名は頻繁に動詞化や形容詞化をとげる。代表的なのは Google するだが、Zoom もパンデミックにより一挙にその活用法を増やした有名固有名詞だ。今や米国では、仕事も学校もイベントも Zoom なしでは成り立たない。

そこで現れた造語の Zoom タウン、だいたい意味が想像できると思うけれど、一応説明しよう。

現在、パンデミックにより米国の労働者の60%が在宅勤務をしていると言われている。また、在宅勤務者のうち2/3は、パンデミックが去った後も、現在の在宅勤務を続けたいと希望しているらしい。彼らは、自宅からセキュアなネットワーク経由で会社のサーバーをつなぐことにより、従来オフィスで行ってきた業務をこなしており、会議やプレゼンテーションは Zoom で、簡単な連絡にはメールやチャットシステムを使っている。

このような勤務形態は、パンデミックの前でもやろうと思えばできたし、一部の人々はすでに行ってきた。私自身もかれこれ10年近く在宅ワークをしている。しかし、今年1月の時点では、米国社会全体としては家から働くという形態はまだ浸透していなかった。米国の人々はまだまだ立派なオフィスに出勤するほうが普通だったのだ。

ところが、今回のパンデミックにより、その状況が強制的に一変した。この大きな変化は、変革とよんでいいレベルだ。ロックダウンにより、突然、在宅で働ける人はすべて、強制的に家で働くことになったのだ。

さて、やってみると過半数の労働者は、コレって結構問題ないし快適じゃん、と言うことに気づいてしまった。同時に多くの企業の方も、思ったよりもスムースに業務がオンライン化でき、効率もそれほど落ちていないことを実感したらしい。

もちろん、効率が落ちたと感じている企業もあるし、そういう企業はパンデミックが終わったらオフィスに従業員を呼び戻すだろう。一方で、たくさんの企業が、パンデミックが終わっても、このNew Normalな労働形態でもいいかなという結論にたどり着いている。

この新しい労働形態の企業側の最大の利点は、オフィススペースを縮小できることだ。もちろん、ネットワークのセキュリティなどインフラは強化しなくてはいけなくなったが、その代わり膨大な家賃を払っているオフィススペースに全員分の机を用意する必要がなくなった。また、技術者として米国各地から優秀な人材を採用できることも魅力の一つだろう。

これは労働者側も同じで、今や技術者は米国各地の企業で求職ができる。採用されたからといって引っ越す必要もない。また、労働者にとっての最大の利点は、オフィスに通勤しなくてはいけないために居住費や生活費が驚くほど高額なシリコンバレーやニューヨークの郊外に住んでいたのが、在宅ワークになったために、その必要がなくなったことだ。

街から離れ、より郊外で、空気が澄んでいて、森や湖や海や国立公園がすぐ近くにある、リゾートとして訪れるような小さな街に引っ越す人が増えてきている。そのような立地であり、なおかつ都会から離れすぎていず、インフラがそれなりに整っているリゾートタウンで、これまでなら別荘として使われていたような家の価値が、現在うなぎのぼりだ。このような街が Zoom タウンと呼ばれている。

例えば、シリコンバレーの場合だと、車で4時間ほどのスキーリゾートタウンであるレイク・タホ周辺の街がそれで、シリコンバレーの半額ぐらいで買える広い家を求めて、人々が引っ越しを始めた。

羨ましい。私も Zoom タウンに住みたい。朝、湖畔や森の中を散歩して野生動物を観察した後、広い部屋の窓から深い緑やちらちら降る雪を見ながら、一日中仕事をする。週末には、近所でハイキングをしたり、カヤックをしたり、スキーをしたり、サイクリングをしたりする。それって最高すぎる。

しかし、残念なことに私が Zoom タウンに引っ越す可能性はしばらくない。Zoom タウンのインフラは、都会の人々によってもたらされる収益によりあっという間に整っていくだろうから、その点は心配していない。もともと都会派ではない私には、ショッピングする場所が少ないとかレストランが少ないとか、そういうことは問題にならない。

ただ、教育環境だけはいくら住人が急増しても、一石二鳥では整わない。幼い子供であれば自然の中で暮らすことはむしろプラスだろう。しかし、ハイスクールともなると大学進学を視野に入れなくてはいけないので、そうそう簡単に転校するわけにはいかないのだ。シリコンバレーでも、例にもれず教育環境がよりよい学区の家の値段は桁外れに高い。いかに教育環境が大学の進学のファクタの一つになっているかがわかる。

となると、我が家のティーンエイジャーが大学進学を決めるまでは、自然に囲まれて仕事をするという夢のような生活は先延ばしにするしかない。それが、パンデミックによってもこの辺りの家の値段が下がるどころか、かえって上昇している大きな理由なのだ。

ほかにもいろいろ!カリフォルニア州人気ブログはこちらから! 

  

ほかにもいろいろ!ブログ村SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

  にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ

PVアクセスランキング にほんブログ村