シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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勝手にオンラインスクール環境のすすめ(規制緩和フェーズ2)

ここのところ何度か話題にしていた8月の新学期だが、カリフォルニア州政府からの新しい命令が発令された。命令に規定された条件が整わなければ、オンラインで学校を運営するようにという内容だが、その規定は相当に厳しく、実質カリフォルニアのほとんどの学校はオンラインで新学期を始めることが決まったようなものだ。

ということで、今日は、勝手にオンラインスクール環境のすすめを、独断と偏見で書いてみることにする。これは、北カリフォルニアの典型的な中産階級が住んでいる広くもない3LDKの平屋をモデルにしている。

まず、子供が自分の部屋を持っていいても、オンラインスクールを部屋で受講させるのはおすすめしない!ただでさえ気が散りやすい自宅学習だ。画面越しの先生はコマ分けになった小さな画面の中の小さな生徒が何をしているかなんてわからない。コンピュータにさえ向かっていれば、勉強をしていても、Youtubeを見ていても、チャットをしていてもわからないのだ。我が家のティーンからの報告によると、夏休み前のオンラインクラスでは、寝起きでベッドで寝転んだまま授業を受けていた生徒もいたという。これはダメだ。

では、どこで受講するのか?私はリビングルームを勧める。どうせ、感染が収まるまでお客様が家に来ることはない。ならば、思い切ってリビングルームを共有の勉強・作業部屋に模様替えだ。子供が二人なら部屋の2つの角に勉強机を設置すればいい。リビングのソファは真ん中にでも適当に転がしておけばいい。机はなるべく広いものがいい。コンピュータを操作しながら、ノートも取れるスーペースがないと、子供は何も書かなくなる。物を書くことは学習にとても大切だ。

そして、もし余裕があるならば、シリコンバレーの学校が通常提供してくれるChromebookは画面が小さいし遅いので、画面が大きくて少し処理の早いPCを買うと良いだろう。そこまで余裕がない場合は、外付けの大きいスクリーンを買って机の上においてあげると俄然環境が整った感じになってやる気が出るかもしれない。オフィスみたいでカッコ良い感じがいい。操作しやすい外付けキーボードやマウスもおすすめだ。オールインワンのラップトップコンピュータを持っている場合でも、外付けディスプレイがあると作業領域がぐっと広くなるし、楽になる。また、外付けのキーボードとマウスがあるだけで疲れ具合が全然違う。無線だとなお良い。

そして、実はこれが一番大切なので、他にお金をかける余裕がなくても、これだけはやって欲しいのが、質の良いマイク付きのイヤホンまたはヘッドセットを手に入れることだ。ラップトップに内蔵されているスピーカーやマイクの質には限界がある上に、イヤホンなしで会話をするとハウリングの原因になったり、スピーカからでた音がマイクから入ることにより音のダブりの原因になる。雑音も多い。これはオンライン学習が受けにくくなる大きな原因で、本人だけではなく、一緒に参加している生徒にも悪影響を与える。良いイヤホンとマイクがあれば、先生やクラスメイトの発言を聞き逃すことも、自分の発言が聞きづらいために無視されることも減る。クラスから取り残されないための必須のアイテムだ。ちなみに、実体験からいうのだが、安物のマイク付きイヤホンの場合、イヤホンには問題がなくてもマイクの質が悪くて音がブツ切れになることがよくある。これは、本人には気づきようがない現象なので、新しいマイク付きイヤホンを買ったら、必ず親子で別部屋からオンラインミーティングを開催して、音質を確かめたほうがいい。Google MeetはGoogleアカウントを持っていれば無料ですぐにテストできるのでおすすめだ。

一時的なことなのに、そこまでしなくてもいいんじゃないのと思う人もいるだろう。しかし、私なら、ここに時間とお金をかけないで、どこにかけるのかと考える。ショッピングも行けないし、旅行も行けないし、外食だって前よりも減っているはずだ。そこで余った時間とお金を快適な学習環境設置に使うのは、結果的には一番の有効活用だと思っている。これで、子供が少しでも快適に集中してくれるならば、新学期が始まってから、子供の様子を心配する時間も子供を叱る回数も減って、それに伴い親のフラストレーションもストレスも減って、心の平安が増える。利益率の高い投資なのだ。

ところで、共有スペースについてだが、リビングのような共有スペースであってもそれぞれの角はその子供の専用スペースとして使わせたほうがいい。壁に向かって座れば、自分の世界であり、コンピュータの向こうには自分の先生とクラスメートがいる、というのがいい。なおかつ、振り返れば、兄弟なり親なり、誰か人がいるというのがいい。一人きりで閉じこもった閉鎖空間で学習するのではなく、より学校に近づけた環境で学習したほうがいい。

親は同じ部屋にいて、授業の様子が聞こえてきても、授業を受けている限りは、口は一切出さないほうがいい。でも、授業を受けないでサボっているときは、もちろん口を出したほうがいい。

仕事をしている親は、スペースがあれば一緒にリビングで仕事をするのがよい。スペースがないならば隣接するダイニングで仕事をしながら時々チェックすればよい。とにかく、人の気配、誰かの視線が感じられる環境が大切だ。休み時間には親も一緒に休んで、スナックを食べながら授業中に漏れ聞こえてきた会話を話題にするといい。

子供も大人も一人一人が共有スペースの中に自分のスペースを持って、それぞれ別の要件に集中する環境。そう、ちょうどオフィスビルの環境のような空間をいかに作り出せるかがポイントだ。

しかし、こんな贅沢は許されない生徒が学校にはいる。Chromebookは学校から支給され、WifiもGoogleがタダで支給してくれるだろうけれども、勉強机をおくスペースがない子供だっているだろう。親が在宅ワークではない仕事であるために、家に子供だけで残されてしまう生徒もいるだろう。

許されている人々は、許されていない生徒たちの事情を自分の子供に思い出させてあげるとよいかもしれない。この秋、うまくオンラインスクールに適応できない子供達が沢山でてくる。しかし、そういう生徒たちに対して馬鹿にしたり呆れたりするのは、全くフェアじゃないことを教えてあげてたほうがいい。

 

 

 

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