シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ファウチ博士のメッセージ(規制緩和フェーズ2)

FaceBook のマーク・ザッカーバーグ氏がFacebook Liveで現在の米国のコロナ対策で最も信用されているアンソニー・ファウチ博士にインタビューをした。Facebook Liveは現在感染が広がっている若者層の視聴者も多い。それを狙って、彼らは若者への働きかけの場として、このインタビューを設定したのかもしれない。

1時間に及ぶライブインタビューの中で、やはり注目だったのは、ザッカーバーグ氏の問いかけに答える形でのファウチ博士による若者への懇願だった。

ファウチ氏曰く、州によっては政府がしっかりとやるべきことをやるべき手順でやっているはずなのに、感染が大幅に拡大されている現状がある。これは、ロックダウン後の様々な規制を守らず、ロックダウン前の生活にジャンプインしようとした人々によって促されていると思われるのだが、その多くは若者だと考えられている。

ファウチ氏は若い人たちに向けてこう語っている。

「君たちは、自分自身に対する責任をもてばいいと思っているかもしれないけれど、それだけではない。社会的な責任ももたなくてはならない。君が感染したら、真空の中に君がいない限り、それは君だけの問題じゃない。君がパンデミックを広めている。

「感染して無症状な君が、誰かに感染させて、その誰かが無症状のまま、別の誰かに感染させる。そうやって感染が広がった先に年配者や疾患を持った社会的弱者いて、彼らが重篤になったら、それは君の問題なんだ。

若者に語るファウチ氏は、いつもよりもちょっと顔が赤くて熱がこもっている。どうしてもわかってほしいという気持ちが伝わってくる。

「みんなで集まって楽しい時を過ごしたいという気持ちはすごくわかる。それは悪いことじゃない。私にだってそういう時代があった。もう少し待てば、なんの問題もなく集まってみんなで楽しい時を過ごせる。ただそれは、「今」じゃないんだ。

たくさんの人にこのメッセージが伝わればいいなと思う。

実は5日ほど前に、嫌なニュースを読んだ。テキサスの30歳の患者の話だ。テキサスの医者が若者に向けてのメッセージとしてあげた動画がニュースのソースなのだが、そのメッセージによると、彼女の病院にはかなりの数の若者が入院しているのだが、その中の30歳の患者が最近亡くなった。亡くなる前に、彼は看護婦にコロナパーティに参加したのだと語った。

コロナパーティとは、最近若者の間で流行っている狂った遊びだ。ウィルスで陽性と診断された人を招いて、たくさんの若者が集まり、本当にウィルスが感染するかどうか試したり、場合によっては誰が最初に感染するか賭けをして、感染した人が賭金を総取りしたりするという。ありえないほど馬鹿げた遊びだ。この遊びには、ウィルスはでっち上げだという前提か、またはウィルスに感染しても若者には影響しないという前提がある。

この前提は、もちろんどちらも真実ではないが、体験しなければ学べない人々が世の中にはいるのだ。若さは時に愚かさに直結する。

彼は亡くなる前日に、看護婦に「僕は間違っていた。全部デタラメだと思ってたんだ。でも違った」と言ったそうだ。

このニュースは患者のプライバシーの問題もあるので、どこの誰がどういう経緯で感染したのかという詳細は発表されていない。あくまでも一人の医者からの若者に対する警告という形で語られているのだが、実際にコロナパーティの存在がテキサスやアラバマで確認されていることを考えれば、非常に現実的だ。

こんなニュースが流れていてもまだ、マスクをせずにバーに集まる若者が絶えない。そのため、カリフォルニアを含むいくつかの州ではバーの営業を完全に停止する羽目になった。

様々な医療従事者やファウチ博士が、どんなに一生懸命訴えても、彼らは聞いていないのか。聞いていて馬鹿にしているのか。身近な人の死を見るまで、自分とは関係ない話と信じているのだろうか。

昨日からカリフォルニアは、感染拡大を受けて、一部の規制緩和を逆戻りさせた。バーは全て営業停止だ。それ以外にもたくさんのビジネスの営業が停止になった。このロールバックが功を奏して、どうか2週間後には右上がりのカーブの傾斜が緩んでほしいと思って、データグラフを見に行く毎日だ。

ファウチ博士はこうも言っていた。

「ロックダウンや規制は、ビジネス再建に対抗するものだと考えている人がいるけれど、それは違う。むしろロックダウンや規制は、ビジネスを再建するためのゲートウェイなのだ。この2つは相反するものではない。」

ところで最近、ファウチ博士は一部の政府関係者から批判を受けている。これまでの政府の失態を彼の責任にしようとする動きが少なからずある。それに対しての彼の答えはこれだった。

  私は私の仕事をするだけだ。

 

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