シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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青空床屋(規制緩和フェーズ2)

来た来た来た!これ来ると思ってた!

というわけで、今日、我らがカリフォルニア州知事が発表したのは、床屋と美容院のアウトドア営業の許可及びそのガイドラインだ。

研究が進むにつれて、感染リスクを下げるには、とにかく空気が流れていることが大切だということがどんどん明確になって来たので、外に出せるものはなんでも外に出しちゃおうという動きが最近顕著になってきた。

これは夏季に雨が降らないカリフォルニアにはとても有利だ。南カリフォルニアの暑さにはちょっと厳しいかもしれないけれど、シリコンバレーのある北カリフォルニアの夏は、常に雨が降らなくて乾燥している。どんなに日差しが強い日でも、日陰にはいればすっと涼しい。つまり、木陰やキャノピーやパラソルさえあれば、熱波でも来ていない限りはアウトドアで結構快適になんでもできるのだ。

例えば、レストランはアウトドアでだけ営業可なのだが、アウトドアスペースを持っていない店も、歩道や駐車場に席を出す許可が出ている。それどころか、レストランの多いダウンタウンでは車道を通行止にして道路にパテオを広げて営業中だ。

ジムもアウトドアなら営業できるということで、私の通っているジムもテニスコートに巨大なキャノピーをはり、エクササイズマシンを並べた。グループエクササイズクラスもキャノピーをいくつも並べて開催している。クラスはライブ中継もされていて、各会員は家でも視聴できるので、ジムのアウトドアと各自のインドアを繋げて会員たちが一緒にエクササイズできるようになっている。

また、今日近くのスーパーまで買い物に行ったら、スーパーの近くのテコンドー道場が駐車場で車10台分ぐらいをテープで囲ってマットを敷き青空道場を開催していた。駐車場に響く気合の入った声とキビキビした動きを横目に通り過ぎながら、なんか気持ちいいもんだなあと笑った。

そして、これは絶対来ると思っていた青空床屋の許可も、州政府からとうとう発令された。といっても最終のゴーサインは各カウンティの衛生局が出すので、まだシリコンバレーで営業が許可さえれるかどうかは定かではない。それでも、まずは州政府の許可がおりただけでも彼らにとっては大きいはずだ。トンネルの先に灯が見えた感じだろう。

特にシリコンバレーのあるサンタクララ郡のヘアサロンは3月中旬から今日まで、たった2日の営業しか許されなかった。7月13日に待ちに待った営業再開したににも関わらず、15日には感染拡大を受けた州命令により営業を停止しなければならなかったサンタクララ郡のヘアサロンの団体が、アウトドアでの営業を州政府にかけあっていると聞いたのは先週後半だ。その時は、そうだよ!その方法があったじゃん!と、感心したものだ。

その流れは速く、すでに今日、ヘアサロンと床屋のアウトドア営業の許可が州政府から出た。もちろん色々な規制はあるし、そもそもアウトドアってどこでやるのとか、色々解決しなくては問題はいっぱいあるけれど、全く何もできなかった彼らが、知恵を絞って動き出すことができるのは大きい。

今日の発表によると、場所は店の近くの歩道または駐車場のようなスペースで、外と同じような空気の流れがなくてはいけない。これは必須だ。レストランと違って、パテオはないし、ヘアカットに使う椅子は通常床にくっついている。鏡も必要だし、切った後の髪の掃除もしなくてはならない。彼らは相当なクリエイティブな発想や工夫を求められる。そして残念ながら、シャンプーやカラーは禁止のままだ。シャンプーやカラーをアウトドアで行うと、汚れた水を捨てるのが難しいことがその理由だ。これは確かだからしょうがない。でも、すごく残念。

それでも、青空床屋が開かれるかもしれないというニュースは、ここ最近陰気で不安なニュースが多いので、久々に楽しいニュースだ。そのうちに、近所の床屋やヘアサロンの前の歩道で、チョキチョキする人たちが見れるのかと思うと、今日のテコンドー道場を見た時並みに微笑ましくて気持ちが浮き立つような気がする。

もう、こうなったら全部アウトドアでやればいいのにと思ってしまう。学校のオンラインスクールは決まってしまったけど、青空教室にすれば少しは通えたんじゃないかなと思ってみたりもする。まあ、スペースが十分にあったところで、子供達が集まってしまえばソーシャルディスタンスを守るのは難しいだろうから、結局無理だったんだろうけれど。

そういえば、今日お向かいのおばあちゃんが前庭のひまわりを切っていたところに、通りかかったら、巨大で鮮やかな黄色の大輪のひまわりを10本ぐらいくれた。もちろんマスクをしてお互いにうーんと手を伸ばした状態で受け取った。鮮やかな黄色がカリフォルニアの深い青の空に本当に映える。お礼を言いながら、ハッと気がついた。

「あれ?ヘアカットしてる?!どこで?」

そう、おばあちゃんはかっこいいピクシーカットになっていた。今、シリコンバレーでプロっぽいヘアカットをしている人がいると、大抵驚かれる。おばあちゃん、7月13日と14日、たった2日間の営業日の朝一にヘアサロンに駆け込んだんだそうだ。朝早ければ、空気もまだ綺麗なはずだという判断で行ったら、思惑通り客は彼女ともう一人しかおらず、美容師さんもマスクも手袋も万全で、安心してヘアカットをしてもらえたそうだ。次にいつ来れるかわからないから、うーんと短いピクシーカットにしてもらったという。

さすが長く生きてるだけあるな。今日は青空道場も見れたし、青空床屋のニュースも読んだし、青空に映える黄色のひまわりをもらって、青空の下でおばあちゃんと距離をとりつつだがお話しができた。

そんなアウトドアな非日常の平和な日だった。

 

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