シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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デモによる感染拡大の波は来ないみたいだ!(規制緩和フェーズ2・次の緩和レベルまで残り1日)

この日記でも何度か触れているが、5月末にミネアポリスの事件を皮切りに、全米を揺るがしている人種差別と警察による過剰な暴力に対する大規模な抗議行動がパンデミックの社会を直撃した。何百何千という人々が、全米の主要都市及び小都市においても、スローガンを声高に合掌し、プラカードを掲げ、集会をしたり行進をしたりした。

たくさんの専門家たちは、この抗議行動の精神に同意し、サポートする発言をしていたが、同時にこのデモが米国の新たな感染拡大の大波を作り出す可能性があると警告を発していた。参加者たちも、感染拡大のことを考えて、参加するかどうか迷った人たちが多い。参加せずに家でニュースを見ていた人たちは、たくさんの人々が接近して立ったり歩いたりしている光景や、ペッパスプレーによって涙を流している姿を見て、今後の感染の行方を心配した。

先週から急激に感染者の数が伸びている州では、やはりデモの影響かと思った人は少なくないと思う。ところが、実際のデータを紐解いてみると、先週から急激に感染者数が伸びているのは、抗議行動よりも少し前に始まった規制緩和の影響であることがわかってきた。

それどころか、今週判明した事実はもっと興味深いものだった。デモによる感染拡大を懸念していたミネアポリスでは、デモの参加者は症状がなくても感染テストを受けられるようにたくさんの臨時のテストサイトを急遽用意した。テストサイトの場所もデモが盛んであった拠点の近くにすることにより、デモに参加した人々がテストを受けやすいように配慮した。ミネアポリスは事件現場であり、デモが最初に始まった場所なので、参加者は参加してから既に2週間から3週間は経過してるはずである。デモによる感染があれば結果がでる頃だ。

その結果わかったのは、テストを受けた人たちの感染率は1%にすぎなかったという事実だ。これは、デモとは関係ない通常のテスト時の感染率に比べてほぼ同じ、または、むしろ低い値だ。デモ中の感染がゼロだったわけではない。むしろゼロだったら、まだ結論を出すには早すぎると思った方がいい。実際は、デモ中の感染は発生していたが、それは普通の状態の感染率とほぼ変わらなかったということなのだ。

この結果には、たくさんの専門家も普通の人々も驚き、そして安堵のため息をついた。ミネアポリスよりも後にデモが始った都市ではまだ結果は出ていないが、ミネアポリスのテスト結果は、ほかの都市にとって十分に勇気付けられるものだったからだ。

専門家たちは、この結果が新しい資料になると考えている。この結果からわかることは、野外であることと、マスクをつけていること、の2つのファクターは感染拡大を防止するために非常に有効であるということだ。

デモに参加した人たちの中には、最初の混乱時にはマスクをしていない人もいたが、感染を懸念した団体からの寄付もあり、デモの構成者たちはマスクをしていない参加者にマスクを配り始めた。これにより、デモ開始から数日後のデモの映像では確かにほとんどの人々がマスクをしていた。そして、もちろんどのデモもアウトドアであった。

まだ、テスト結果がで始めたばかりで、結論を急ぐことはできないけれど、これは明るいニュースだ。人種差別の撤廃を目指して戦っている人々が、感染拡大の原因として非難されることになったら、彼らの目標はつまらない政治的思惑に絡め取られてしまう可能性がある。どうか、このまま感染を広げないで、マスクをしてアウトドアで、そして、できる限り互いの距離をとったまま運動を続けて欲しいと思う。

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