シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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買い手が殺到している意外なもの(規制緩和フェーズ2・次の緩和レベルまで残り6日)

3月の半ばロックダウンが始まった頃、品薄で手に入らなかったものといえば、紙類、卵、粉類、パスタ、パンといった毎日の生活の基本となるものだった。今はこれらのものが手に入らないことはない。もし某店でなくても、別の店では見つかるといった具合に、当時のように商品をハンティングするということはなくなった。

しかし、実は、その頃から品薄で今でも品薄のものがある。自転車だ。欧米の多くの都市で自転車が飛ぶように売れて供給が追いつかずに、なかなか買えない事態になっている。ロードバイクのような特殊な高級自転車ではなくて、ごく普通に乗り回すファミリータイプの安価な自転車が店頭からなくなっていくらしい。同様に、電動自転車も売れている。

ロックダウンが宣言されて以来、多くの人々が運動する機会を失った。ロックダウン以前は、ジムやプールに通っていたり、チームスポーツに参加していたりした人々は、家の中に閉じこもることで増え続ける体重と健康リスクに不安を感じたのは簡単に想像できる。もともと日常的にスポーツをする人々というのは、そもそも健康的な生活に敏感な人々だからである。

そこで、自転車の登場である。散歩だけでは飽き足らなくなった彼らの多くは、学校が休講または短縮授業の子供たちをエンターテインするという目的と運動という目的を一石二鳥で達成する手段としてサイクリングするという解決策を選んだ。サイクリングに必要なのはごく普通の自転車だ。

また、ロックダウンでも働き続ける必要のある職種の人々の中には、リスクの高い公共交通機関の利用を避け、運動も兼ねて職場まで自転車で出勤する人が増えた。それが、電動自転車の売り上げ増加の背景である。

どれくらい売れているのかといえば、米国では2月から4月にかけての自転車の売り上げは去年の同時期の138パーセントに達している。英国においてはなんと184パーセント出そうだ。

これにより予想できることは、これらの自転車に魅了された人々はパンデミックが終了した後でも、以前の公共交通機関に戻らずに自転車に乗り続けるのではないかという可能性だ。

また、在宅勤務のかたわら、時間を見つけては子供と自転車を走らせている人の中には、これまでやってきたどんなアクティビティよりも楽しく、健康的に子供と過ごせることに気づいた人たちもいる。彼らにとって、この気づきはロックダウンによって引き起こされた変化のない生活に訪れた一筋の光のようなものだ。

ロックダウンは、感染を防止するという直接的な目的とは別に、人々に自分たちの生き方を振り返って考える時間を与えた。これをきっかけに人々はいろんなことを辞めたり、始めたり、変えたりすることにより、自分にあったより快適な生き方を見つけた人たちもいる。

ロックダウンが人々にもたらした数々の影響は数え切れないほどあるが、その全てが悪い影響であったわけではないのだ。いくつかの良い変化もあったのである。

 

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