シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ロックダウン疲れ(ロックダウン38日目・現時点の解除予定日まで残り11日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

今日のカリフォルニアのニューサム州知事の会見では、ロックダウンが緩和される日の目安は発表されなかった。多くの人ががっかりしたのではないかと思う。

誤解のないように書いておくと、カリフォルニア州はロックダウンを宣言した当初から解除予定日を発表したことはない。シリコンバレーの解除予定日の5月3日というのは、シリコンバレーのあるサンタクララ郡の衛生局が出している日付であり、ニューサム知事はそれに触れる必要はないのだ。

どちらにせよ、州が5月始めにロックダウンを緩和しないだろうということは、誰もがすでに想定内だった。では、なぜ多くの人はがっかりしたのかというと、先の見えない不透明な生活に皆疲れ始めているからである。

目標になる終わりが見えていれば、その日まで頑張ろうと、自分と周りを励ますこともできる。しかし、いつまで続くのかわからない状態で、家に閉じこもり、同じ人と同じような日をひたすら繰り返えす生活は、思ったよりも精神健康上よくないようだ。

ロックダウンの始めの頃は、感染者数や死者数を何度もチェックして不安になったり怯えていたりした。思えば、あの頃は気持ちが張り詰めた興奮状態であったため、アドレナリンが出ていて、身体的にも精神的にもエネルギーがあり、頑張ろうという気力に溢れていた。

ところが、家に閉じこもる生活が1ヶ月を過ぎた頃、感染の劇的なピークは過ぎても増加し続ける感染者数や死者数をあまりチェックしなくなった。未だ出口が感じられない数値を見るたびに、とても疲れてしまうからだ。同じような日の繰り返しの中で、気持ちにも変化が乏しくどんどんニュートラルになり、緊張感や緊迫感も感じられなくなる。ひたすら繰り返しされるミニマムな生活の中で、アドレナリンがどんどん枯渇していってしまったみたいだ。ロックダウン当初、非常に頻繁に情報交換に使われていた携帯のチャットグループも最近はすっかり静まりかえってしまった。

誰もがそのことを感じ取っているのだろう。何でもいい、何か変化が必要だ。

ニューサム州知事は、少しづつ体制を戻していくことの最初の一歩として、病院で延期されていた様々な手術を再開する許可を出した。また、一部の郡では、ソーシャルディスタンスを保ちながらという条件で、建築工事やガーデニングサービスなど一部の分野で緩和が発表された。そうでもしなければ、鬱々とした人々の気分を少しでも持ち上げることができない。たくさんの人がロックダウンに疲れ過ぎて、ストレスをためてしまえば、結局、違反行為を生んでしまうかもしれない。規制は守られなければ意味がないのだ。

米国のいくつかの州は住民から抗議を押させきれずに、今週末や来週から規制を撤廃する。段階的に撤廃する州もあれば、全体的に一気に撤廃する州もある。単純に計算すれば、撤廃後間もなく、これらの州の感染者数は右肩上がりの傾斜が急になるだろうと専門家たちは警告を鳴らしているが、自由を守れと気炎をあげていた人々はきっと大喜びだろう。自分の生活は自分で守ると。

その様子を、カリフォルニアにいる私たちは遠くから、少し呆れて、少し心配して、そして、ほんの少しだけ羨ましく思って眺めている。

そして、専門家の意見やニュースやデータを眺めてから、もしシリコンバレーであのような形で規制が撤廃されたら、恐ろしくて今よりも外に出れなくなってしまうから、やっぱりカリフォルニア州に住んでてよかったと、元気なく思いつつ、今日も家にいるである。

 

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