シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ロックダウンが生み出した想定外だけど納得すること(ロックダウン67日目・現時点の解除予定日まで残り10日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

なんとロックダウン解除予定日まで残り10日!でも、もう私たちは知っている。今のロックダウン規制の解除は、次のレベルの新しい規制の始まりでしかないのだ。それが、どのようなレベルになっていつ発表になるのかはまだわからないけれど、これまでの流れからして、来週の火曜日か水曜日あたりになんらかの情報が出るのではないかと思われる。

今日は、すでに2ヶ月を超えたロックダウンが生み出した想定外ではあったけれど納得の事例についていくつか書いてみようかと思う。

1つ目は空気が綺麗になった。これは、ロックダウンが始まってすぐに誰もが気がついたことだと思うが、今週の水曜日正式なリサーチ結果が発表され、その浄化率がすごかった。米国が一番厳しい状況を迎えていた4月の始め、世界の1日の二酸化炭素の排出量は1月に比べてなんと17%も減っていた。これは2006年の二酸化炭素の排出量のレベルなのだそうでである。国によっては25%減ったところもあるという。ロックダウンによって人々が移動しなくなることが、空気を浄化することが数字によって明確に証明された形となった。大きく影響したのはやはり車の排気ガスらしい。そうだよな。どこに行っても渋滞していない。

このまま、ロックダウンが解除されて、人々がロックダウン前の生活に戻れば、この数ヶ月の空気の浄化はあっという間に元に戻り、この数ヶ月の二酸化炭素の減少は世界的な環境変動にはほとんど影響を与えないことになってしまうのだが、もし、ロックダウンが解除されてからも在宅ワークが主流になったらどうだろう。もしかしたら、人が移動が少なくなれば、二酸化炭素の排出量が少しは減った状態をキープできるかもしれない。いや、減らずとも増えなくなるかもしれない。これは、必死で二酸化炭素の排出量を減らそうとしている人間に明確なオプションを示す形になった。

余談だけど、空いているハイウェイを見ていて、こんなに道が空いているなら、ハイウェイを時間帯で閉鎖して自動運転のテストに使えば良いのになあって思っていた。

さて、2つ目は、緑の公園にゲームボードのように整然とした間隔で描かれた白いサークル。公園の芝生で日光浴する人々がどうにも近寄り過ぎてしまうので、ニューヨークの公園で始まった新しい試みであるが、なかなかどうしてうまく行っているようなので、今週サンフランシスコの人気の公園でも、この試み始めた。

白いサークルについて少し解説すると、ニューヨーク市民に人気がある公園の芝生に、直径3メートルのサークルが一定間隔でチョークを使って描かれたのだ。人々がサークルの中で日光浴をしていれば必然的にソーシャルディスタンスが保たれるというアイデアだ。このサークル陣地、多分、強制性はないと思うのだが、ニューヨークの人々は実に整然と家族単位で白い輪っかの中に収まった。その週末の公園を楽しんでいる写真がニュースになったのだが、美しい緑の芝生に整然と描かれたサークル内に収まってそれぞれ好きなことをしている人々の姿が、すごくSFチックだ。最初に見たときに、コンピュータグラフィックスかと思ったぐらいだ。確かに、ああいう丸をチョークで描かれると入ってみたくなる。自分の陣地!みたいに。ちょっと子供に帰った気分がしそう。人って面白い。

最後に、これは今日のホットニュースで、ロックダウンが生み出したわけではないのかもしれないのだが、挙げておきたいと思う。

米国の大学受験の申し込みには全国標準テストの点数を記載することを求められることが一般的だ。このテストはSATまたはACTというのだが、ロックダウンの影響で来年の受験生にとって非常に重要となる春のテスト機会が失われてしまった。このため、来年の受験生用の「一時的処置」として、カリフォルニア大学全10校は受験時にSATまたはACTの点数を必須としないというニュースが先週流れた。このニュースは、特に驚くほどのこともなく、そりゃそうだよな、しょうがないもんなぐらいだったのだ。

しかし、今日発表になったのは別だ。なんと来年だけではなく今後一切、カリフォルニア大学は受験時にSATまたはACTの点数を必要としないことに今日決定したというのだ。これは半世紀続いてきたSAT神話の崩壊の序曲である。これまでにもSATとACTを受験に使用しないようにしようという動きはずっとあったのだが、今回のロックダウンにより強制的に使用できなくなったのがきっかけで、この動きが加速されたのではないかと思わざる得ない。この発表をしたのはカリフォルニア大学だけだが、カリフォルニアのほかの大学やほかの州の大学が、どれくらいこの動きに同調するかは今後の注目である。

そんなこんなで、ロックダウン規制そのものも、ほかのいろんなことも流動的なシリコンバレーロックダウンの日々は続く。

 

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