シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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データを読む難しさ(規制緩和フェーズ2・次の緩和レベルまで残り7日)

数日前から注目を集めているのは、5月半ばからの本格的な規制緩和が始まった米国において、感染の第二波が始まったかどうかである。

ワシントンポストによれば米国の21の州で、先週の1日あたりの平均感染者数が増加しているという記事が載っている。しかし、このデータから単純に21の州で感染が広がっていると判断することはできない。なぜなら、州によっては大幅にテスト数も増加しているからである。母数であるテスト数が多くなれば、テスト結果の陽性者数も増えて当然である。

だからと言って、感染者数の増加が全てテスト数の増加によるものであると決めつけるのは非常に危険である。実際のところ、テスト数の増加よりもはるかに高い率で感染者数が増加している州もある。

では、数値としてはどのデータを見れば本当に感染が広がっているかどうかわかるのだろうか。私は医療データの解析の専門家でもなければ、ジャーナリストでもない。マスコミが伝える色々な数字やデータは、実に多彩で読み方を変えれば導き出される結論も変わってしまう。そんな混乱の中で、個人的に感染が拡大しているかしていないかを読むのに信頼性がたかそうだと考えているのは次の2つのデータだ。

まず、過去7日間における入院者数とICU使用者数だ。感染者数が単純にテストの結果陽性だと判断された人数であるのに対して、入院者数とICU使用者数は、感染症状が明らかに出ており入院する必要がある患者の数とICUを使用する必要があるほど重体である患者の数を示している。ということは、たとえテストを受けるチャンスなくても、これらの患者は病院に足を運んでいた可能性があり、そのような患者の7日間の合計が、それよりも前の7日間の合計より増えているということは、全体的に感染が広がっている可能性があると考えてもよいと思う。

なぜ、7日間という長さを設けているのかといえば、患者数の確認とデータの報告には時間のズレが必ず存在する。週末の報告は遅れるかもしれないし、月曜日の報告はその分を含んで急激に伸びるかもしれない。それを考慮して7日間または14日間というような一定の長さを抽出して比べる必要があるのだ。

次に、注目できるデータはテスト結果の陽性率である。テストの総数が大きくなったのに伴って、陽性者数が増えているのであれば、陽性率はほぼ変わらないはずだ。しかし、この陽性率が増加している場合は、単純にそのコミュニティにおいて感染率が上がっていると判断してよいと思われる。現在のところテスト結果は平均2日以内には確認できるため、このデータは現実の状態を高レスポンスで反映している可能性がある。

この2つのデータがわかれば、どの州で感染が確実に拡大していてかがわかるのではないかと思うわけだが、不思議なことにこれらのデータを見つけるのは簡単ではない。

メジャーなマスコミはそれぞれ独自のデータマップをウェブサイトに掲示しているが、主なデータは感染者数や死亡者数、または、それらの数が人口10万人につき何人に値するかというようなものが多い。これは、各州の人口に大きなばらつきがあるために重要なデータであるが、ここからわかるのはどの州がより感染者や死亡者が少ないか、つまり、うまく状況を処理できてるかということであって、今、感染が拡大しているかどうかを読み取ることはできない。

各州の保健局や州政府がそれぞれの郡の入院者数やICU使用者数の増減や陽性率をレポートしているデータはあるが、米国全体でそれをデータまたはマップかしているサイトを未だに見つけることができない。これは私の検索能力が足りないせいなのかもしれないけれど、どちらも重要な指針になるデータにも関わらず見つかりにくいことが少し意外だなと思っている。

そうやってウェブ検索をくりかしていたら、とうとう州ごとの感染率をまとめているサイトを見つけた。興味があるならぜひ訪れてみるとよいと思うのだが、マップの各州をクリックすることで感染率やその他の興味深いデータをシンプルにまとめてある。データによってはまだベータ版であるということからして、現在アクティブに開発を進めているサイトらしい。

このサイトのデータの信頼度までは検証していないので、必ずしも信用できるとは言い切れないのだが、このサイトを提供している人々や協力しているグループをみると少なくとも怪しい団体ではないことがわかる。

というわけで、今日、このサイトは、私のコンピュータにブックマークされている数多いデータマップサイトの仲間入りをした次第である

 

covidactnow.org

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