シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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微妙すぎる規制緩和と感染追跡システム(ロックダウン45日目・現時点の解除予定日まで残り32日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

いろんな意味で待ちに待っていた情報が今日公開された。まあ、なんとも微妙な感じで。

まず、郡の衛生局が今日の先陣を切って発表した内容は、予告されていたように規制の解除が5月31日まで公式に延長したことと、この延長に伴い、いくつかの規制緩和が発表された。この規制緩和の内容については予想が全くつかなかったので、私もちょっとワクワクしていたのだが、とにかくシリコンバレーの住人にとって今日のトップニュースだ。

簡単にまとめると、緩和されるのは次の5項目。

建設業プロジェクト

不動産取引

在宅以外で働くことが認められた親の子供を預かる施設やプログラム

造園・園芸・庭師など一般的に外で働くビジネス

特定のアウトドアレクリエーション施設(詳細不明)

最後のアウトドアレクリエーション施設(詳細不明)以外は、見事に我が家には微塵も関係しない内容だった。いや、待てよ。庭師が公式に来てくれることになる(先週も知らない間に非公式に来てたけど)。

残念ながら床屋と美容院は入っていなかった(まあ、入ってるわけないんだけど)。これで、我が家の住人は、さらに一ヶ月ワイルドな髪型のまま過ごすことが決定だ。という軽口は、たたかないと寂しからたたいているだけで、単純にこれまでの45日の生活が残り32日続くということがわかった。

まあ、喜ばしくはないけど、カリフォルニアの新規感染者の数が再び増えてしまった昨日今日のデータを見れば、当然予想の範囲内である。確かに平均を取れば新規感染者は減っているが、その傾向は日々安定していないし、連続して減り続けている状態ではないのだ。少なくとも建築業界、不動産業界、造園業界がビジネスに戻れることを喜んであげたい。ピタリと止まっていた経済が少しは動き出す。

ちなみに現時点で、カリフォルニアの公式の感染者数は4万8千人超、死者は2千人弱である。これが多いのか少ないのかは本当に微妙で、ニューヨークの現在の感染者数30万人弱、死者2万3千人超と比べれば劇的に少ないが、日本の感染者1万4千人弱、死者5百人以下に比べると劇的に多い。

まあ、そんなこんなでため息がでそうなところで、お昼にはニューサム州知事から、今後のカリフォルニア州の規制緩和のプロセスと見通しについて発表があった。ニューサム州知事によると規制緩和は4つのステージに分けて行うそうで、現在私たちは第1ステージにいる。となると、当然気になるのは第2ステージである。

第2ステージの規制緩和は、感染リスクが小さい業種に限るそうで、製造業、教育施設、保育施設、小売業(ただし店頭で受け渡し)、リモートで働けないオフィスワークが解禁になる。もちろん、ソーシャルディスタンスをはじめ、感染防止のための様々な規則を守ることが条件だ。ニューサム知事は、数週間以内に第2ステージに移行できるのではないかと言及した。

お、これは、今朝発表された郡の規制よりも少し期待できると思ってよく読んだら、「郡の規制と州の規制に差異があった場合、より厳しい方に従うこと」と注記がしっかりと書いてあった。

そうだよな。昨日も書いたけど、感染度合いが大きく違う広大な州全体が同じレベルで規制緩和することなんかできるわけがない。こういう形で、郡ごとに緩和していくんだと、ちょっと悟りを開いた気分でなんども頷いた。郡の発表が先でよかったと思う。州の発表が先だったら、ぬか喜びになるところだった。だから、郡の発表が先だったのか。ただの偶然か。

しかし、これだと昨日書いたみたいに、規制が厳しい郡の住人が規制が緩和された郡にフラフラ遊びに行っちゃうんじゃないかと思ったら、夜にしっかり追加のニュースが出た。今週の金曜日からカリフォルアの全てのビーチと州立公園はクローズだそうだ。昨日お怒りだったニューサム知事は抜かりない。

ちなみに、床屋と美容院は州の緩和規制の第2ステージにも入ってなかったので、週末に郡越えしても、髪を切ることはできない。もちろん入ってたとしても、さすがにやらなかったけど。

床屋、美容院、ジム、映画館、観客なしのスポーツイベント、宗教的なサービスなどは第3ステージに入っていて、これらは州全体でもまだまだ先になりそうだ。最終ステージである第4ステージは、観客を伴う大規模イベント、コンサートやスポーツ観戦などが通常に行われる状態だが、このステージは州民にワクチンが摂取されるまでやってこない。つまり1年以上先を睨んでいる。

あまり楽しい予測ではないし、先は非常に長いが、それでもこういう風にマイルストーンを敷いてもらえると、先行き不安な不透明感からは抜け出せるので、微妙ながらも心が軽くなった。ニューサム知事、ありがとう。

そんなこんなで、ニュースは盛りだくさんで情報が溢れているのだけれど、今日はもう一つシリコンバレーならではの話題を書いておきたい。

現在のシリコンバレーが誇る2大テックジャイアント企業といえば、AppleとGoogleなわけであるが(過去は違ったし、現在でも異論がある人が多分いる)、この2社が協力して開発している感染追跡システム-感染者が見つかった時にその最近の接触者に警告を送るシステム-のベータ版をリリースした。速い

ここで注目なのは、AppleとGoogleは追跡アプリケーションを開発したわけではなく、彼らのスマートフォンOSであるiOSとAndroidの中にBluetoothシグナルを使ってお互いの距離を測ることができる機能を構築したのだ。アプリケーション開発者はAppleとGoogleが提供するプログラムインタフェースやAPIを使用して、陽性だと判断された感染者が、身元を明かすことなく、過去の特定の期間内に特定の距離以内に近づいた電話に警告を発して、電話の持ち主にウィルステストを受けるように依頼するアプリケーションを開発できる。

なんとも近未来的かつ現実的な仕組みでやっぱりちょっとワクワクしてしまった。

きっと世界の現ディベロッパーや旧ディベロッパーたちは、このざっくりした仕様を読んで、頭の中で擬似アプリのデザインをイメージしているかもしれない。かくいう私もちょっとやってしまった。ディベロッパーの性である。

このシステムを使うか使わないかは、各自治体の判断に任せられているわけだが、AppleとGoogleのホームであるカリフォルニア州は、使うだろうなと思っている。すでに、この機能を使えるアプリを開発中かもしれない。

シリコンバレーのオタク社会はたくましい。そして、速い。最新テクノロジーの首都を支えている選りすぐりの最高な技術者たちは、本当に頼り甲斐があるのだ。

 

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