シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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学ぶということ(ロックダウン53日目・現時点の解除予定日まで残り23日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

今日、改めて現時点での解除予定日である6月1日までの日付を数えたら24日ではなくて23日だった。どこから間違えていたのかわからないが、正しい日付をサブタイトルに入れた。

シリコンバレーのロックダウンが始まってから53日がすぎた。シリコンバレーのロックダウンが始まった頃はまた3月の中旬で朝夕には肌寒い日も多く、暖房をつける日もあったのだが、今はすっかり初夏の気候で半袖短パンで一日過ごした。家にいる間にカリフォルニアの短い春をスキップしてしまった。

23日後にどこまで規制が緩和されるかはわからないが、普通の夏よりも多くの時間を家で過ごす夏になるのは間違いない。我が家には冷房がないので、40度を超えることもあるカリフォルニアの夏をどう家の中で過ごすかは大きな課題だ。

カリフォルニアは空気が乾燥しているため蒸し暑くない。かなり暑い日でも直射日光に当たらなければ我慢できないほど暑く感じることは滅多にない。暑い日は、人々は朝から窓もカーテンも締め切って、早朝の涼しい空気を家の中に閉じ込めて過ごす。そうするだけで、冷房がなくても西日が当たり始める午後3時過ぎまでは快適に過ごせる。午後遅くに西日で家がトーストされ始めると、家の中は本格的に暑くなるが、数時間後に日が沈み夜になると、外気は急激に冷えていく。今度は熱のこもった家から涼しくなった外に出て過ごせばいい。

そんな気候であるから、冷房を設定していない家もまだ相当にあり、我が家にもない。しかし、年に数日は朝から夜まで暑い日もある。例年ならば、冷房がないことを恨めしく思い、冷房が効いているジムとか、カフェとか、または、プールやビーチのような水際に避難することもある。しかし、今年は以前に書いたようにNew Normalな夏なのでどこにも避難できそうにない。

夏に備えて、慌てて冷房を設定している家もあるが、我が家は借家なのでそれもままならず、ポータブルな小型冷房機と扇風機のみが頼みの綱となる。ただでさえ、普段の夏よりも一日中家にいる人数が多く、仕事もしなくてはならない。暑くて集中力が落ちそうだ。今からどんな対策があるのか考えておこう。

そんな夏をティーンエイジャーはどうやって過ごせばいいのだろう。夏休みは通常通り6月の中旬から始まるらしい。

ロックダウン当初から今まで、学校はオンライン授業になっている。我が家の住んでいる学区のオンライン授業は1教科30分しかやらないので、朝からお昼までで授業終了だ。教科の中には30分もかからずに終ってしまう課題の日もあるので、学習時間は異様なほど短くみえる。

その上、この学区のオンライン授業は学習環境が公平ではないという理由から成績がつかない。つまり、頑張って課題を提出しても、適当に課題を提出しても、出しさえすれば同じ成績がつく。ビデオカンファレンス授業がない日は、5分ぐらいで適当に課題をすませて、残りの25分をコンピュータで遊んで過ごしても誰にもバレない。親が隣で見張って入れば別だが、ティーンエイジャーにそれをする親は少ないだろう。

こういう環境で学習のモティベーションを保つのは相当難しい。良い成績をとるとか、悪い成績をとって親に叱られたくないとか、授業中にクラスで恥をかきたくないとか、そういう外面的な理由から勉強をしてきた子供達にとっては、ロックダウン前と同じぐらい頑張れというのは無理がある。

一方、好奇心が強く、学ぶということを純粋に楽しめる子供は、放っておいても余った時間で自由に学び続けるので心配する必要はない。ロックダウンの学校環境は、その意図はなくとも、学ぶということは本来どういうことなのか、再考を促す機会となっている。

実際のところ、オンライン授業では学力に相当な差がついてしまうことが徐々に明らかになってきていて、ニュースではこの数ヶ月の学校授業の消失は子供達に大きな影響を与えるだろうと報じられている。ニューサム知事も、できることなら、通常8月中旬に始まる新学期を7月の末に始めることで、今のロスを少しでも取り戻したいとの意向を示した。もちろん学校を始めることができればの話である。

学校が始まったとしても、その学校はこれまでの学校とは全くちがうNew Normalな学校だ。クラスの人数を半数に制限するために、授業数は倍にしなくてはいけなくなるだろう。しかし、先生の数も教室の数も限られているので、生徒たちはは時間差登校を余儀なくされるのではないかと言われている。そうなると授業時間は必然的に短くなるだろう。それならば、いっそオンライン授業のままでもいいんじゃないのと思わなくもないが、先ほど描いてようにオンライン授業では自宅の学習環境なども影響して学力に相当な差がついてしまうらしい。

登校しても、授業中はもちろん、休み時間もランチタイムもソーシャルディスタンスが基本だから、以前のように隣同士に座っておしゃべりなんてこともできない。スポーツも多分できない。クラブ活動も多分できない。

一体彼らにはどんな学校生活が待っているのだろうか。

ただ、純粋に学問を学ぶという目的だけが残った学校がそこにはあるのかもしれない。

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