シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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New Normal-新しい常識(ロックダウン30日目・現時点の解除予定日まで残り19日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

タイトルを編集していてちょっと感動したのは、シリコンバレーがロックダウンに入ってからほぼ一ヶ月たったことを再認識したことと、現時点でのシリコンバレーにおける解除予定日までの日数が20日間を切ったことだ。でも、残念なことに、以前書いたように現在の解除予定日である5月3日が延長される可能性は相当高いと思われている。

米国はニューヨークを筆頭に1日単位の新規感染者数及び死亡者数のピークは超えたのではないかと考えられている。ここ、カリフォルニアはロックダウンが早かったぶんだけ、感染者の増加率が低く抑えられ、その分、ピークは遅れて到達するために来週あたりだと言われているが、ピーク時の死亡者の数は相当抑えられるだろうと予測されている。少しホッとするニュースだ。

と言いつつも、米国全体で未だに1日につき3万人近い新規感染者と千人以上の死者が報告されている現状では、ようやく折り返し地点にたどり着いただけで、先は長い。しかし、ピークを超えつつある今こそ、ロックダウン規制の緩和をいつどのような方法で行うのかを突っ込んで検討しなくてはならない時である。

いつまでも「まだその時ではない」と曖昧な表現を繰り返しているだけでは、経済の停滞による影響を受け苦しんでいる住民の不安と不満が募ってしまう。そこで、ニューサム知事は、4月14日の今日、絶妙なタイミングで規制緩和へのガイドラインを発表した。ガイドラインはわかりやすく具体的だが、なかなか厳しい内容になっている。

ガイドラインには、規制を緩和するためには次の6つの体制が整う必要があるとしている。

・感染者のテスト、追跡、隔離、サポートの体制を整えることにより、コミュニティを監視して守るための仕組み

・リスクの高い人たちに感染させないように守る仕組み

・新たな感染の波が訪れた時に十分に対応できる医療体制

・感染者の必要性に応じた治療方法の確立

・ソーシャルディスタンス(約2m)を保ち続けるための学校やビジネスの体制

・緩和後、再び規制を強化する必要がある場合、そのタイミングを測る判断基準

どの項目にも、その項目が満たされているかどうかの判断基準になる質問が2つづ提案されており、これら12個の質問に全部答えられる時が規制緩和を決定できる時だというわけだ。

ニューサム知事は、今私たちはこの6つの項目のどれも満たしていないので、規制緩和には時期尚早だと判断できると説明した。そして、今後専門家とともにこれらの項目それぞれに対して入念に検討しできるだけ早く準備するとした。具体的でわかりやすい説明だった。

また彼は、たとえロックダウンが解除されたとしても、そこはロックダウン前の世界とは同じではないとも語った。最終的にワクチンが開発されて全ての人間が免疫を保つまで、私たちはNew Nomal(新しい常識)を受けれ入れる覚悟が必要だ。

New Normalー新しい常識とは具体的にどんなものになるのか。例えば、人の多いところではマスクを使用が常識になるかもしれない。レストランの席と席の間を開けなくてはならないので席数は少なくなるしれない。ウェイトレスやウェイターは手袋とマスクをしているのが普通になるかもしれない。学校ではソーシャルディスタンスを保つために体育や休み時間の過ごしかたがこれまでとは全く異なるものになるかもしれない。

どうやら、ロックダウン解除後もSFの世界は私たちの前からは煙のように消えてはくれないようだ。ロックダウン前の世界とはだいぶ違うロックダウン後の世界が、そこには描かれている。米国では、なくてはならない挨拶である握手も当面なくなって、日本のように、お互いに手をかざしたりお辞儀をしたりするのだろうか。

常識というのは元来不変ではなく、時代に流されて少しずつ形を変えるものであるが、こんな風に急激に強制的に常識が変わるのは、歴史上、戦中に戦場となった国、または戦後の敗戦国ぐらいだっただろう。ロックダウン規制緩和後、米国の人々はこの新しい常識にどういう反応をするだろうか。シリコンバレーは、もともと常識を共有しない多種多様な移民たちが溢れている土地なので、意外と柔軟に適応するかもしれない。

今や世界中のたくさんの機関によりワクチンの開発が勧められている。このワクチンは世界を救うだけではなく、優れたビジネスになることは間違いない。なんと、ビル・ゲイツもワクチンの開発に乗り出しているそうだ。さすがだ。とにかく、なるべく早くワクチンという武器を手に入れて、こう着状態の戦況を好転させたいと誰もが望んでいるわけだが、開発には18ヶ月はかかると言われている。

こんな時、ハリウッドのSF映画なら、レオナルド・デカプリオとかが苦難の中、何かをきっかけにウィルスを撃退する薬を発見して世界を救うのだが、残念ながら現実はそんなにご都合主義にはできていない。

 

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