シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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エイプリルフール(ロックダウン17日目・解除予定日まで残り32日)

全米で他州に先駆けてロックダウン(Shelter In Place)を宣言したカリフォルニア州のニューサム知事は、強いリーダーシップを発揮して次々と規制を発令・更新して、カリフォルニア州がニューヨーク州のような医療崩壊の後追いをしないように全力を尽くしているわけだが、本日4月1日のデイリーニュースカンファレンスでも驚きの宣言をした(ニューヨーク在住の友人から聞いているニューヨークの現状については明日の日記に記録予定)。

今日ニューサム知事によって、カリフォルニアの学校(小学校から大学に到るまで)をこのままの状態で学年末(つまり6月の夏休み開始)まで開校しないことが発表されたのである。自身も小さな子供を4人持つニューサム知事は、ニュースカンファレンスの中で、子供達が学校に行かずに家で勉強をすることにより、多大なストレスを負うことになるカリフォルニアの母親たちに理解と感謝の意を表した。

小さな子供もつ親にこの発表は衝撃だ。遊ぶことが仕事のような小さな子供たちが、学校に行けない、友達と遊べない、公園の遊具も使えない。短縮されたオンライン授業で画面越しに先生や友達とコミュニケーションをとっている数時間以外は、親と時間を過ごすしか選択肢がないのだ。その上、運よく仕事を失っていない親は、家で仕事を継続しているのである。どんなに精神力と体力が削られても、託児所やベビーシッターを使うことも、同じ年頃の子供を持つ友人の家でちょっと預かってもらうこともできない。

中学生以上の子供を持つ親にとっての心配事は、学習の進度と塾や習い事がなくなることで突然にして生み出された膨大な余剰時間の過ごし方だ。2週間前に休校が決まった時、カリフォルニアの学校は一年のカリキュラムのちょうど半分を終えたところだったので、子供達は現学年の半分をこのままオンライン授業で学ぶことになった。

オンライン授業について少し説明すると、我が家の中学生の息子の学区では、1科目30分の短縮授業で、オンライン会議アプリケーションZoomを使い、先生やクラスメートとコミュニケーションを取りながら、出された課題をこなしていく形でカリキュラムは進行する。授業中であろうが、宿題であろうが、出された課題に対して成績は全くつかない。つまり、しっかり勉強しようが、アクセス画面から見えないタイミングでSNSやゲームをしていようが、成績の上で評価されることは全くない。

これはもう、通常の学校とは別物である。その上、今年、中学・高校を卒業予定の学生達は、このまま成績もつかず、卒業式もなく、中学校や高校を終えるという前代未聞の事態が想定されている。

エイプリールフールの冗談だったらいいのにね、とネットワークごしにつぶやいた。

仕方がない。仕方がないことはわかっているけれど、喉元がムズムズする。言いたいことを我慢しているような、この気持ちをなんと表現すればいいんだろう。

最近の米国の合言葉は「Staying Home, Saving Lives」である。家にいることで、命を救おう。間違わないようにしなくてはいけないのは、私たちが家にいることで救うのは、自分の命ではない。感染者増加の傾斜を緩めることで、医療従事者や医療設備が足りなくなることで失われる可能性のある命を救おうとしているのだ。だから、私たちは何も言わない。どんなに失望しても気分がダウンしても、喉元まででかかりそうなヒステリックな不平不満をぐっと奥におしこんで、平常心の笑顔を浮かべながらロックダウンに向かい合っているのだ。

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