シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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人種と教育

ひさびさに興味深い数字の話を読んだので、そこからの情報。

米国教育省は、パンデミックになってから初めて大規模なアンケートを実施し、パンデミックにおける学校体制についての包括的な現状把握を行った。この情報によりバーチャルクラスを受講している生徒は、国民が想定していたよりも多いらしいことが判明したという記事だ。

この情報にはすごく興味がある。カリフォルニアでは、ほとんどの学校が一年近くバーチャルクラスだったのだが、他の州の状況は今ひとつわからなかった。教育体制に関する様々な記事を読むたびに、ハイブリッドだったり、普通に登校していたり、オンラインだったりして、いったいどれがどれくらいの現状なんだろうと首を捻ったものだ。

そのような情報がこれまで伝わってこなかったのは、州をまたがる形で統一された大規模な調査がされていなかったからである。とにかく前政権は、パンデミックに関するあまりにもいろいろなことを州政府に丸投げして、リーダーシップを取ろうとしなかった。それが米国における世界で最悪のパンデミック対応を生んだのだが、この度、政権交代とともに連邦政府の体制が一挙に変わった。この調査もその一環として初めて行われたといったところだ。

1月および2月始めの時点において、43%の小学校の生徒、48%の中学校の生徒は完全にオンラインスクールだった。これは確かに思っていよりも高い。カリフォルニアだけはなく、ほかの州も相当高い割合でオンラインスクールで運営していたことがわかる。

そして、さらに面白い数字は、オンラインスクールの割合は人種によって差が出ることだ。小学四年生の場合、68%のアジア人、58%のアフリカ系アメリカ人、56%のヒスパニックが完全にオンラインスクールなのに対し、白人はたった27%がオンラインスクールだったというのだ。また、フルタイムで学校に通っている小学四年生の割合のほうに視点を移してみると、白人の約半分がフルタイムで登校しているのに対して、アジア人は15%、アフリカ系アメリカ人は28%、ヒスパニックは33%しかフルタイムで登校していない。いかに有色人種が、相対的にオンラインスクールを利用しているかが浮き彫りになっている。

この調査結果はもちろん、生徒が住んでいる場所にも大きく影響を受けている。都会と地方を比べると、人種がミックスしている都会の学校は、人口密度が高いのでオンラインスクールの利用が多く、白人が多い地方の学校は登校させている事が多い。また、学校が開いている州は主に白人が多い南部と中西部であるのに対して、人種がより混ざっている西部や北東部では学校が完全に開いている例は少ない。これが、上記の数字に影響している側面はあるだろう。

しかし、同時に、この調査の時点で、4つの学区のうち3つの学区では、ハイブリッドのような何らかの形での登校できる体制が提供されていたことを考えると、たとえ登校できる授業が提供されていたとしても、有色人種の生徒やその家族は、あえてフルタイムのオンラインスクールを選択しているという可能性も高い。

実はこれは納得の推察である。私はアフリカ系アメリカ人やヒスパニックのことはあまり多くは語れないが、アジア系の生徒や家族が、あえてオンラインスクールを選択しているという実態を肌で感じるからだ。現在カリフォルニアでは、学校再開の流れが急ピッチで進んでいて、ハイブリッド形式の登校が一般的になってきている。が、未だワクチンの接種が20%前後をウロウロしているし、そもそも子供は認可されているワクチンがまだないので、登校は強制ではなく、登校するか、オンライン受講を続けるかは選択性になっている。我が家もそうだが、わたしの知り合いのアジア系の家族はとりあえずオンラインスクールを選ぶケースが多い。反対に白人の知り合いは登校させているケースが多いような気がする。

これにはいくつか理由がある。アジア系はほかの人種に比べてウィルスや感染症により神経質であり予防する努力をする。パンデミックの前の米国で、風邪のためにマスクを着用することがあったのはアジア系だけだし、そのマスク姿のアジア人の姿を見て多くの非アジア系米国人は驚いたり怪しんだものだ。また、アジア系の生徒はどの形態でも真面目に受講する生徒が多く、オンラインスクールによりうまく適応している例が多い。また、アジア系の親は教育熱心な事が多く、オンラインスクールにおいても子供を熱心にサポートしてオンラインスクールの弱点をカバーしているため、生徒の学力にあまり影響がでていない。

などなど、様々な理由があり、アジア人家族はフルタイムのオンラインスクールを自ら希望している例が多く、それが68%という非常に高いオンラインスクール率に反映されているように思う。

このように、オンラインスクールひとつとっても、人種の間で受け取り方や利用の仕方が大きく違う。米国は人種のるつぼ、移民で作られている国家だ。それぞれの人種にはそれぞれ考え方あり、文化があり、行動パターンがあるが、米国という国の中でそれぞれの特徴を捨てることはなく、保持し続けながら、1つの国を形成していく。

これが、米国が一国家として方向性を定めて動くことを難しくている要因のひとつなのだ。

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