シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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命をたつ子どもたち

今日のトピックは私の中で完全に消化不良なので何をどう書いたらいいのかよくわからないけど一応書いてみる。

パンデミックにより去年の春から、多くの学校が閉まり、オンラインスクールに移行した。10ヶ月たった今も多くの土地では、学校はオンラインまたは一部オンラインの状態だ。シリコンバレーのあるカリフォルニアの公立学校も基本的にはオンラインで運営されており、一部の特別支援が必要な子どもたちだけが登校を許可されている状態である。

この学校の閉鎖が、多くの子供達の自殺の原因になっていると報道されるようになってからすでに半年以上が過ぎている。

私がこの状況を上手く理解できないのは、我が家にいるティーンエイジャーが報道とは正反対な暮らしぶりだからだ。彼の場合、はっきりいって登校していたときよりも、リラックスして気楽にオンライン授業に参加している。本人いわく、寒くても暑くても雨が降ってても登校しなくてすむし、ランチはできたてが食べられるし、授業を受けて課題さえ提出していれば、服装や授業態度も自由で周りに気を使う必要もないオンライン授業にはまったく文句がなく、パンデミック後に登校するようになるのが面倒だとまで言っているのだ。

こういう子供もいる一方で、報道されているように学校に登校できないがゆえに孤独感を強め、うつ状態に陥り、オンラインスクールに参加しないようになって、最悪の場合は命を立つ子どもたちがいる。このように命をたった子どもたちの報道を5件ほど読んでみたのだが、2つの傾向があるような気がする。1つ目は学校でリーダシップをとっていた子供であったり、スポーツを頑張っていた子供が、学校に登校できなくなることによって、閉じた生活に適応できずにうつ状態に陥るという傾向。2つ目は、家庭環境が厳しく、自宅でオンラインクラスに参加すること事態が難しく、切羽詰まってうつ状態に陥るという傾向だ。

この2つの傾向はまるで違う環境から生まれるのだけれど、共通している点は、どちらの場合も、孤立した子どもたちが「あきらめ、絶望する」点だ。

パンデミックは長い。3ヶ月が6ヶ月に、そして8ヶ月に、10ヶ月になった。多くの学校で、パンデミック以前のような学校生活に戻れるのは、さらに8ヶ月以上先の、今年の9月の新学期が目安となっている。それ以前は登校できたとしても、ソーシャルディスタンスが必要な学校生活になるだろうし、秋以降もマスクや一定の規制が必要になるかもしれないと言う予想だ。

それでも、出口はあることはみんなが知っている。パンデミックは永遠には続かない。必ず終わりがやってくると考えられればと思うのだが、若さ故なのか、うつ状態のせいなのだろうか、現状にあきらめ、絶望した子どもたちが、その生命を自らたってしまうのだ。

なんて口惜しいことだろう。このくらいの年齢の子どもたちには、10ヶ月後や1年後などは遠い未来であって、今現在の苦しみの救いにはならないのだろうか。

せめて、苦しい、死にたいと思うようになったときに、それを誰かに伝えてくれればよいのだけれど、たぶんそれができないから行き詰まってしまうのだろう。家に閉じこもっていると、助けを求めることができるのは、親かオンラインで交流する友達ぐらいだ。親に言える子供は恵まれている。友達に言える子供も恵まれている。学校に登校していれば、教育者やカウンセラーが助けの手を伸ばしてくれることもあっただろうけれど、今はそれも難しい。

ニュースの中で、息子が失った母親がインタビューで言っていた。息子がオンライン授業に参加しなくなっていたのに、学校側は数ヶ月も親に連絡をくれなかった。なぜもっと早く教えてくれなかったのかと泣いていた。子供を失った母親に対して気の毒でならなかったのだが、同時に、なぜ彼女はその事実に気がつかなかったのだろうかという疑問が生まれた。授業の出席も、課題の提出結果も、今はオンラインのアプリケーションにアクセスすれば親も確認できるようになっているのが普通だ。もしかしたら、仕事が忙しい人なのかもしれないし、生活に余裕がなくてそれどころではないのかもしれない。だとしたら、いよいよ子供が助けを求めることができなかったのかもしれない。

そういう子どもたちを助けるために、日本にもあるような自殺を助けるためのホットラインが米国にもあり、誰でもいつでも電話をして話を聞いてもらえることになっている。話をすることは大切だ。その場でなにも解決しなくても、苦しさを吐き出すことで、少しだけ気持ちが楽になる。

未だいつ学校が再開できるかわからない今、オンライン授業をうけている子供がいる親たちは、子供の変化に気をつけていてほしい。また、友達の様子がおかしければ、すぐに大人に相談するようにと、子供に伝えておくのも重要だ。

そして、現在苦しんでいる子どもたちには、親でも友達でも先生でもホットラインでも、助けを求めてその声をあげてほしい。昔、友人が言っていた。「本当に勇気のある行動というのは、助けが必要なときに助けを求めることなのだ。」

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