シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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チック症とADHD

仕事がとんでもなく忙しくて日記を開く暇もなかった。仕事の量が溜まっていることもあるけれど、パンデミックの影響なにかなんなのか、最近顧客のネットワークセキュリティが一層厳しくなっている。そのために、以前と同じ手順でできたことができないケースが多発しているため、新しい手順を手探りしなくてはならないタスクが結構あって、老体にはなかなか堪える。唯一の誇りだった記憶力も近年怪しくなってきたので、手順やらコマンドやら呪文やらを、「もう忘れちゃったよ!」と嘆きながらインターネット検索を繰り返して毎日情報探索している。インターネットのない時代はいったいどうやってこういう情報を引き出してたんだろうかと、Google先生の素晴らしさに感謝が募る一方だ。

というわけで、ニュースを読む時間もあまりなくてかけることがあまりないのだけれど、気になったニュースはイギリス発のもので、パンデミックになってからというもの、チック症の症状を訴えて医者のところにやってくるティーンエイジャーの女子がパンデミック前の2倍以上なっているという記事だった。この調査をしている専門家によると、これはイギリスだけではなく、様々な国で似たようなことが起こっていると世界中の同業者から情報をもらっているそうだ。また、チック症患者は全体的に増えているものの、特にティーンエイジャーの女子の間では顕著に増加しているという。

チック症は遺伝性など傾向が高い症候群ではあるが、ストレスがその発症の引き金になることもよくしれられている。パンデミックによるオンライン授業がもたらした隔離状態が特にティーンエイジャーの女子の間で、大きなストレスになっていることがうかがえる。

なんでティーンエイジャーなのかといえば、ただでさえ思春期という精神的にも肉体的にも不安定な年齢であることが多いに関係ある。では、なんで女子なのかというと、専門家の意見はわかれるが、男子のほうが女子より社会的な隔離状態に対するストレスを感じない傾向があるのではないかと言われている。なるほど、これはちょっとおもしろいなと思う。また、男子はオンラインビデオゲームにより以前とあまり変わらずに時間を過ごすこ子供は多いが、女子はどんなにSNSが発達していても、それを実際にあって時間を過ごす社交と置き換えることはできないことも理由の一つに挙げられていた。興味深い。

そんななか、ADHDの診断を受けたいという希望者が非常に増えているというニュースもあった。この2つのニュースはたぶん関連している。パンデミックとオンライン授業によるストレスにより、チック症を始め、さまざまな問題が家での学習状況に発生している。授業に出られない、課題をこなせない、パンデミック前にオールAだった生徒が、どの教科も一挙に成績が落ちて落第寸前という話も珍しくない。

オンライン授業のときに、その様子を目の当たりにするのは、教師でも学校でもなく親だ。親は苦しむ子供の姿を目の当たりにして、どうにかして助けてあげたいと思う。いろいろアドバイスをしても、一緒に行動してみても、子供が授業に出ることすらできない様子を心配した親は、子供は実はADHDなのではないかと思い至り医者に診断をお願いするというのが、この話を背景らしい。実際に、難しい学習環境におかれていることで、これまで気づかれなかったADHDの症状が顕著に出ている場合もあるし、ADHDとは言い切れない別の問題、ストレスによる問題行動だということもあるらしい。

なぜ親たちがADHDの診断をしてもらいたがるのかというと、ADHDと診断してもらえれば、特別な助けや薬がもらえることが背景にある。ADHDの薬の中には非常に効果が高いものがあって、それなければ毎日の生活を整然とこなせない人が、薬によってごく普通に効率よく生活をこなせるようになるものもあるわけだ。ADHDと診断してもらったほうが、「怠けている」と評価されることもなくなれば、状況を好転できる薬ももらえるかもしれない。毎日のオンライン授業で発生している地獄のような状況からなんとかして解放されたいと、親も子も必死でもがいているのだ。

それほどまでに追い詰められている家族がたくさんいるのだなと、気の毒になった。我が家のティーンエイジャー男子は、オンライン授業にまったくストレスを感じず、社会的隔離状況にもまったく抵抗なく、むしろ、「ずっとこのままでいいかも」とか寝言を言っている状況なので、実感できなかったのだが、こういう記事を読むことによって、オンライン授業が社会に与えているインパクトがわかってくる。

気の毒なニュースではあるが、多くの専門家はわりと現状に楽観的である。曰く、パンデミックにより急激に増えたこれらの現象は、パンデミックの終焉とともに急激に減っていくだろうと考えられている。一ヶ月以内に教師のワクチン接種が終われば、学校は一部だけでも開き始めるだろう。そして、秋の新学期には通常のスケジュールで開校できる可能性が高い(マスクは必要かもしれないけれど)。

あと残り少しの踏ん張りを親も子も求められている。

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