シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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新規感染者数の急減少

カリフォルニアの新規感染者数を追っていたら、突然、本当に突然、1月25日前後を堺に急落した。これはカリフォルニアだけではなくて、米国の新規感染者数も急にストンと落ちたのだ。

この10ヶ月間の間、米国と世界の新規感染者数の動きを追ってきた者ならば「おや?データ遅延かな?」っと思ったに違いない。なぜなら、このようにストンと新規感染者数が落ちる現象は、米国以外の国ではこれまでもよく見られている現象だったが、米国ではほぼ初めてなのだ。

この一年間、新規感染者数が急速に登っていくと、ヨーロッパやアジアの各国は国を上げてロックダウンやそれに近い規制や推奨を出すため、その影響でしばらくすると新規感染者がストンと落ちていた。そして、またしばらくすると上がっていく。それを第1波、第2波などと呼んでいるわけだが、米国の新規感染者数はそのような動きをしてこなかった。米国はずーっと第1波のなかにいたようなものだ。

米国の場合、春と夏の秋のどの波も、新規感染者数が拡大する特定の「地域」というのがあって、そのたびに感染拡大地域の州で主に規制が行われた。つまり、国として一貫した対応を取らなかったため、ある地域では規制が厳しいときにも、別の地域では規制がほぼまったくなしという状況が多かった。

これが米国の感染者数に与えた影響は大きい。春はニューヨークを中心に東海岸の北部で新規感染者が拡大、そこが鎮静される頃には、今度は南部と西部で新規感染者が拡大した。そして、これが収まる頃には今度は中部の新規感染者が拡大したのだ。この地域別時間差拡大により、米国全体の新規感染者数は、先日まで10ヶ月間ほぼ一度も急激な減少することはなく、少し減少してはまた大幅に増える繰り返し、どんどんどんどん右肩あがりを続けてきたのである。

しかし、そんな米国の新規感染者が突然、これまで一度も経験しなかった勢いで、なんと35%も減少した。本当にストンと落ちたのだ。下の表を見るとわかりやすい。

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この原因はいろいろと考えられる。

まず、感謝祭、クリスマス、ニューイヤーに原因があると思われる大幅な冬の感染拡大は、これまでと違い米国のほぼ全域で同時期に発生した。たぶんこれまでの感染拡大の中で一番シンクロしていたし、それに対する対応も規制の厳しさは州によりまちまちだったけれど時期的にはシンクロしていた。また、ほぼ全土にわたり医療危機の可能性が報道されていたので、どこの住民もこれまで以上に危機感を感じたはずだ。このため、相変わらず連邦政府が特に拡大防止対策をとらなかったにもかかわらず、国全体として初めてシンクロした感染拡大防止対応が行われたのだと思う。よって、どの地域でも同じようなタイミングでホリデーの影響による感染拡大が収縮し、米国は初めてその新規感染者数を急激に減少することができた。

また、よく言われているのは、よりたくさんの米国人がマスクをするようになり、ソーシャルディスタンスをとるようになったということだ。これは全国的な感染拡大により危機感が高くなったということもあるだろうが、一部の情報によるとワクチンの接種開始とも関係があると言われている。ワクチンが感染者の減少につながっているいうことではない。それにはまだ早すぎる。そうではなくて、ワクチンの接種が始まり、多くの人々が接種を待つ段階になり、もう少しでCOVIDから解放されることがわかっている今、待っている間にうっかり感染して命を落とすのは馬鹿げていると考える人が増えたということらしい。私からすると、ワクチンがないときでも、うっかり感染するのは馬鹿げていると10ヶ月ずーっと思っていたので、この考え方にはピンとこないのだが、実際にそういう発言をする人が多いと医療関係者がいっているので、本当なのだろう。

それから、これはどこまで直接的に関係しているかはわからないところだけれど、結局米国は科学を推奨しているバイデンを大統領に選んだということだ。選挙後にいろいろ揉めてはいたものの、12月末には政権交代が確定していた。そして、1月6日の暴動では、暴力に屈してはならないと夜通し議会が行われ、選挙結果を公式にしたのだ。この頃から、バイデンに投票した人々はもちろんだが、投票しなった人々でさえ、少なくとも今後4年間は米国は科学を推奨することを認識するようになった。これは一部の強硬な保守派には関係のないことかもしれないが、共和党の多くの議員がマスクをしていたように共和党に投票した人のすべてが科学を軽んじているわけではない。たくさんの人々は、選挙結果が公式になったころから、徐々に科学に基づく感染防止の受け入れ幅を広げただろうし、マスクを避けるという政治的なパフォーマンスをしなくてはならないというプレッシャーが減ったこともあるだろう。

これらのどれが、本当に影響を与えたのかはわからないけれど、このまま米国の人々が現在のような行動を続ければ、もっと感染者を減らすことができるかもしれない。残念ながら、死亡者数は常に新規感染者数に遅れて減少するので、まだしばらくは犠牲者が増え続けるだろう。それでも、3週間ほどすればそれも収まってくるはずだ。そして、その間にワクチンの接種者が増えていくだろう。

ただし、新規感染者数が減ったことに油断をしたり、ワクチンの配布が進んでいることに油断をしたりして、人々の行動が元にもどれば、拡大はあっという間に右肩上がりの戻ってしまう。私達はそれを何度も見てきた。

今度こそ連邦政府の旗振りのもと、全土をあげて再び大きな拡大を迎えることなく春を迎えられればよいと思う。

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