シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

姉妹サイト「シリコンバレーをよむ」もぜひご訪問ください

ファウチ博士のいつもの一日

辛目のニュースばかり読んでると気分が沈むので、今日はちょっと目先を変えて、このブログでも何度も登場している、多くの米国民から信頼されているファウチ博士のティピカルな一日についてのニュースから。

ファウチ博士は79歳、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のディレクターで36年の間に6人の歴代大統領のアドバイザーとして働いてきた。つい先日、次期大統領のバイデン氏からも政権の主任メディカルアドバイザーとして働くことを依頼されたので、彼にとってバイデン氏は一緒に働く7人目の大統領となる。バイデン氏に依頼されたときに「即時にイエスといったよ」とニュースインタビューで語っていたが、彼の辞書には「引退」という文字はないに違いない。

すっと伸びた姿勢も、論理的でわかりやすい説明能力も、まったく年齢を感じさせない。毎日のようにメディアに登場しては、感染拡大の現状や今後の予測、食い止めるためにできることを説明し続けている。生涯現役を目指す私としては、いったいどんなスケジュールで動けば、あんなに仕事がこなせるのか非常に興味がある。

彼のある水曜日のスケジュールがニュースになっていた。まず、朝、5時10分に起きてシャワーを浴び、髭をそった後、6時半に予定されているテレビのインタビューまでメールに返信して過ごした。ちなみに彼は1日1000件以上のメールを受け取るそうだ。

インタビューの後、7時に家を出て、国立衛生研究所の自分のオフィスに出勤する。オフィスに行かない日は1日としてないと、彼はメディアに語ったことがある。オフィスではまず、インタビューを2つ受けた。1つはテレビで、もう1つはラジオだ。ちなみに、この日は合計で9つのインタビューをこなしている。媒体はラジオからサイエンスジャーナルまで、実に多彩である。

医者としてのファウチ博士は、可能な限り毎日患者の診察も行う。あんなに忙しい人が患者の診察を行っているのは驚きなのだが、彼に曰く、実際の患者を診察することでしか得られないような独特な見識を得ることがあるのだそうだ。この日は彼はCOVIDの患者を2人診察した。ということは、もちろん完全防護服を着用しての診察である。友人の医者に聞いたのだが、あれを着て動くこと事態が結構大変なのだそうだ。

診察が終わって午前10時、自分のスタッフとのZoomミーティング。11時にはワクチンについての専門家たちと別のZoomミーティング午後3時半から5時半までの間は、ファウチ博士はホワイトハウスとのZoomミーティングとワクチン専門家たちZoomミーティングに交互に参加しながら過ごし、空いている時間にスピーチの準備を進めた。

在宅ワークをやっている人ならご存知のように、Zoomミーティングが多いとスケジュール管理からミーティングIDやパスワードの管理が非常に面倒なのだが、ファウチ博士には幸いなことにこれを助けてくれるアシスタントがいて、2つのラップトップを交互に使いなから、次々とZoomミーティングに参加できるようにしている。1つのZoomが終わって、そのラップトップをアシスタントに渡すと、次のZoomにすでにログインしているもう一つのラップトップが渡されてくるため、ファウチ博士は自分で細かい管理をする必要がないそうである。それはよかった。

さて、この日、ファウチ博士がとった休み時間は2回だけ。1回目は11時に10分から12分ほど、トイレにいって、メールを書いたそうだ。2回目は、1時半から2時の間に20分ほど休んだそうである。

午後5時半から6時半の間は、各地の州知事や市長たちと電話で話し、6時半から7時ぐらいはオフィスをでて帰宅の途に就く。

家に帰ると、ちょっとくつろぐために、やはり学者である奥さんと45分のパワーウォーク(スタスタ歩く散歩)に出かける。その後にディナーである。ディナーは地元のレストランをサポートするために週に2、3回は持ち帰りをしているそうだ。

夕飯の後は、仕事に戻り、疲れ切ってこれ以上は無理だと感じるまで、インタビューを受けたりメールに返信したりしているそうだ。

これを毎日やっているというのだから、相当な体力と気力である。自分のやりたいことを仕事にして、使命を感じて働いていることがわかる。

ファウチ博士、毎日ありがとうございます。

そんな、ファウチ博士が現在非常に心配しているのが、既に危機的な状態に近づいている感染拡大の波である。不要不急の外出をしないこと、マスクをすること、ソーシャルディスタンスをとること、手を洗うこと、ファウチ博士が毎日のようにメディアに語っている。

そんななか、先週の火曜日にホワイトハウスでクリスマスパーティが開かれ、その映像が流れた。たくさんの招待客がすし詰めの状態で、ほとんどの人はマスクをせずに、大声で話したり(ときには咳もしたり)しながら、吹き抜けの階段を降りてきたトランプ大統領に声援を送っていた。キラキラ輝くホワイトハウスで、マスクをした楽団がクラシック音楽を演奏する中、一張羅で着飾った招待客の笑顔。その彼らの間に、頭上に、輝くクリスマスツリーを覆うように、目に見えないウィルスが行ったり来たり漂っているような気がして、ホラー映画の映像かと思った。

いったいどういうことなんだろうかと思っていたら、翌日のプレスカンファレンスで、毎日何千人が死に、何十万人の感染者が報告され、国民が様々な規制の中で暮らしている中、ホワイトハウスがクリスマスパーティを開くことについてコメントを求められた大統領報道官の返事がすごかった。

ビジネスの略奪や、ビルへの放火や、デモへの参加が許可されているなら、クリスマスを祝うパーティが許可されてもいいでしょう

その日、どこかの街で起こっていたデモに対する皮肉をこめて答えたつもりらしいが、ホワイトハウスのクリスマスパーティと国民の権利であるデモへの参加と犯罪である略奪と放火を、同じレベルで許可されている語ったことに、通常の常識のある誰もが唖然としたことを付け足しておこう。

  にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから!

参照:

www.cnbc.com

PVアクセスランキング にほんブログ村