シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

姉妹サイト「シリコンバレーをよむ」もぜひご訪問ください

降格が決定しました(オレンジティア)

米国の一日あたりの新規感染者数は、昨日の木曜日で15万人超、今日の金曜日は17万人超という、まさしく指数関数的な爆発がみられる。予想はできたとはいえ、毎日新しい値を聞いては、改めて驚いてしまう。

そして、感染拡大をぐぐっと抑え込んできたカリフォルニア州も、とうとう全国的なトレンドを追いかけ始めてしまった。

シリコンバレーがあるサンタクララ郡は、10月13日、カリフォルニア州の4つの規制緩和段階、パープルティアレッドティアオレンジティアイエローティアの最大緩和状態(イエロー)の1個下、オレンジティアにまでたどり着いた(「シリコンバレーのオレンジティアおめでとう!とりあえず!」を参照)。カリフォルニアの段階的規制緩和システムであるティアシステムんついては「再挑戦」を参照してほしい。

そして、その一ヶ月後である今日、11月13日に、オレンジティアから規制が一段階厳しいレッドティアへの降格が発表された。これは先週末からの急激な新規感染者数の増大を知っていれば想定内だ。でも、毎週火曜日の州政府による「ティア成績発表会」で落第発表になると思ったので、今日の郡の衛生局から発表されたのには少し驚いた。そして、今日発表されたにもかかわらず、その実効は、来週の火曜日つまり州政府の正式発表から施行されるというのがなるほどである。

サンタクララ郡の規制システムを引っ張っているサラ・コーディ博士は非常に論理的で冷静な人だ。いつも的確で素早い判断と行動をする。この日記で何度も書いてきたけれど、全米で一番最初にロックダウンを発表したのは、ここサンタクララ郡であり彼女である。さて、彼女は現在のサンタクララ郡の新規感染者の伸びから、規制を再び厳しくしなくてはならないと判断して、来週火曜日の州政府の発表を待たずに、今日自ら発表した。3月のシリコンバレーのロックダウン時を彷彿とさせる、彼女らしい迅速さと行動力だ。

しかし、同時に毎週火曜日に緩和段階が変化する州のティアシステムのことも考慮している。ティアシステム構築以来、カリフォルニアのビジネスは毎週火曜日の州政府の発表を受けてビジネス形態を変化させてきている。だから、実際に再規制を実効するのは来週の火曜日とするのはファアだし、来週から規制がかかってしまうビジネスに心の準備を与える役割もしている。同時に、住人には一足早くプレッシャーが与えられるので、感染拡大につながるような行動を少しは減らすことができるかもしれない。賢い方法だと思う。果たしてこの降格でどれだけ感染拡大を食い止めることができるだろうか。その結果はさらに2週間後である11月の末に出てくるはずだ。

その結果が出る前に、11月26日から4連休で感謝祭、サンクスギビングがやってくる。このサンクスギビング、米国ではクリスマスに次ぐ大切な行事で、例年ならば家族や友人が遠方から集まって、あちらこちらの家で大きなパーティが開かれる。もちろん今年は、パーティの開催は推奨されていないが、それでもたくさんの人々が家族に合うために旅行するだろうと予測されている。現在の米国の感染状態をみれば、このサンクスギビングのための旅行とパーティの開催は気違い沙汰で、絶対にしてはならない行動であり、これにより既に制御不能に陥っている感染の波をどこまで高く押し上げることになるのかと非常に不安視されている。しかし、どんなに警告されても、自粛疲れで感覚が麻痺している多くの米国人たちが、親しい人たちだけだから大丈夫だと緩んだ警戒心で集ってしまうだろう。

この心配を受けて、今日、カリフォルニアのニューサム州知事は、サンクスギビングに旅行する人々に対して厳しい勧告を出した。カリフォルニア州に入ってくる旅行者には、州内に入ってから2週間の自主隔離が要求される。同時に、カリフォルニア州外に旅行に出た場合は、カリフォルニアに帰ってきてから2週間の自主隔離が要求される。

今や、州境を超えるのは外国にいくようなものである。特にカリフォルニアは現時点では他の州に比べて感染が抑えられている。このアドバンテージを、一部の人達の身勝手な行動で簡単に失う可能性があることを考えれば、この勧告は当然であり住人としては大賛成だ。

カリフォルニア以外のたくさんの州で、すでにオーバーシュートが始まっているような気がする。多くの地域で医療機関やスタッフが足りない状態が発生していて、それらの地域の医療関係者は、足りないスタッフの作業を埋めるために12時間や24時間という非常識なシフトで1人でも多くの人を救うために働いている。彼らにとっては、サンクスギビングのパーティをどうしようかなどという呑気な悩みは問題外だ。毎日、どれだけ睡眠や休養を確保できるか、1人でも多くの患者を救うことができるのかだけが、彼らにとっての命題である。

パーティを開く人々に伝えたい。自粛疲れストレスは十分に理解できる。その気持はわかる。でも、自分の周辺だけを見ているその視線を少しだけ遠くに移して、最前線で戦っている人々を、もう一度思い出してほしい。彼らにはパーティもホリデーもない。他人の命を預かるという私達よりも遥かに高いストレスを抱えて、朝から晩まで息をつく暇もなく働いている。そんな彼らを助けるために私達にできることは実に簡単だ。パーティなど開かずに、家族だけで自宅でのんびり過ごせばいい。そんな簡単なことが、結果的には最前線の戦士を助けることになる。

7、8ヶ月前、パンデミック初期に、医療関係者に毎日感謝の気持ちを送っていた記憶を掘り起こして、もう一度温めてほしい。危機的状況やリスクになれて感覚が麻痺した私達には、医療関係者が発する警告音が聞こえていない。いや、聞こえているけど、聞こえないふりをしているだけなのだ。

    にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ    

もっと読みたい!SF・ベイエリア人気ブログはこちらから!

もっと読みたい!カリフォルニア州人気ブログはこちらから!

PVアクセスランキング にほんブログ村