シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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警告(規制緩和フェーズ2)

ジョージア州で6歳から19歳を対象にした泊りがけのサマーキャンプで大型のクラスタが報告されている。どれくらい大型かというと、検査を受けた344人中なんと3分の2を超える260人が陽性だったというのだ。キャンプの参加者は600人ほどいたというのだから、全員が検査を受けたわけではないので、実際の感染者はこの数字より多い可能性があるという。

感染したのはキャンパーだけではない。キャンプで働くスタッフも多く感染した。ちなみに、スタッフにはティーンエイジャーが多かったそうだ。スタッフは全員マスクをしていたが、キャンパーはマスクを矯正されていなかった。消毒は衛生局の指導通り行なっていたが、部屋の換気には特に気を配らず、宿泊も比較的多くの子供達が同じロッジを共有していたらしい。集合して大声をあげたり歌ったりして典型的な米国のアウトドアキャンプを楽しんでいたという。

キャンプが始まって5日過ぎたところで、ティーンエイジャーのスタッフの一人が体調不良を訴えて帰宅し、その翌日陽性だと判明した。キャンプの主催側はその日から徐々にキャンパー達を帰宅させはじめ、3日目にはキャンプ全体をキャンセルすることにして全員を帰宅させた。

このニュースで注目なのは、検査を受けた子供達のうち、より若い子供達の方がより感染していたことだ。なぜなら、これまでの様々な研究結果では、10歳以下の若い子供達は10代以上の子供や大人に比べて、感染しにくいと考えられていたからである。しかし、判明しているだけでも6歳から10歳の子供達の間では51%が感染、11歳から17歳の間では44%が感染、18歳から21歳の間では33%が感染していた。

この数字は衝撃で、子供が小さければ感染するリスクが低いという理解から、若い子供達から新学期の登校を認めようと考えていた州政府や学校区に冷や水を浴びさせることになった。年齢が若ければ感染しにくいという神話はここには存在しない。

救いは感染者のほとんどは症状がないか、あっても軽い症状で済んでいることだ。この部分はこれまでの研究結果と一致している。しかし、子供の症状が軽かったとしても、キャンプから帰宅した子供から感染が広がる可能性は否定できない。それに関して、研究報告が出ていないのが残念なところだが、少なくとも若い子供達の間で感染が広がりにくいというこれまでの神話を再考させられるニュースであることは間違いなく、あと1、2週間で始まる秋の新学期に重大な警告を鳴らすこととなった。

カリフォルニアのほとんどの学校は、この秋はオンラインで始めることがすでに決定しているので、「やっぱりオンラインスクールが正解だったのか」と思わされたわけだが、ほかの多くの州で、新学期から登校することが決まっている子供の親や教師達はますます不安が募ったに違いない。子供が感染する不安はもちろんだが、教師が感染する不安、感染した子供から親が感染する不安は留まるところを知らない。残念ながら大人は子供達よりも重症化する確率が高いこともすでに判明済みだ。

それにしても、この感染率の高さには驚かされる。このウィルスがいかに感染力が強いかを改めて再認識させられた。せめてキャンパーがマスクをしていれば、これほどまでの高い感染率にはならなかったのかもしれないが、米国には未だにマスクの着用を拒否する人々がいる。そのような親がいれば、それに従う子供がいても当然だ。

マスク反対運動参加者は「マスクは違憲だ!」「自由を奪っている!」というスローガンを掲げている。しかし、それはお門違いなスローガンなのだ。

米国の憲法は、他人の命を奪う権利や自由を認めてはいない。

専門家がなんども説明しているように、マスクは自分が感染しない為にするのではない。自分以外の人間を感染させない為にするのである。前にも書いたけれども、喫煙者が公共の場所で喫煙できなくなった理由は、喫煙者が癌になるからではなくて、喫煙が近くにいる他人の健康を脅かすからである。それと同じで、マスクをしないことは、近くにいる他人の健康を脅かしているのだ。

マスクをしないことが自分の選択であり権利である考えている人は、自分には他人を感染させる権利と自由がある主張してるようなものなのだ。

 

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