シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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特別じゃない特別な三連休がやってくる(ティア1)

今日は久々にファウチ博士をニュースで見た。

パンデミックが始まって以来、科学的なアプローチをわかりやすい言葉で伝えることができる彼は、多くの国民から高い信頼を得ており、メディアで見ない日はないほど引っ張りだこだったのだが、度重なる会見やインタビューで喉を酷使した結果、ポリープを患い、少し前にポリープを切除する手術をうけていたため、メディアへの露出度が減っていた。

最近になって、手術後の回復も順調でメディアに再登場し始めたのだが、久しぶりに彼の映るニュースを見て、「おやっ」と思った。あの独特なガラガラのしゃがれ声が、気にならなくなっている。ああ、あのしゃがれ声はポリープのせいだったんだなあと改めて確認することになり、聞きやすくなった声でより一層わかりやすくなった解説に耳を傾けることができた。

今回の主なトピックは、ワクチンの開発状況についてであり、ファウチ博士曰く、年末までには、安全かつある程度は効果のあるワクチンが利用できるようになるだろうと語っていた。これが、嘘つき三昧の政治家の解説だったらスルーするところだが、ファウチ博士がいうなら、そうに違いないという気にさせられる。

ただし、ワクチンが利用できるようになっても、摂取する順番は、まず最前線で活躍する医療従事者たち、次に、年配の人々や基本疾患を持つ健康的弱者であることは決まっている。我が家のように、普通のかぜもめったにひかない人間は一番最後に順番がまわってくるだろうから、まだまだ今の生活が続くと考えられる。

まあ、それでも良いニュースには違いない。

しかし、同時にファウチ博士は、現在彼が特に懸念している2つの事象について説明した。

1つ目は米国の各地で発生している大学を基盤にしたクラスタである。大学をオフラインで通常通りに開いた州はもちろんだが、オンラインでスタートした州であっても、新学期に合わせて、学生街に戻った若者は多い。アパートや寮がすでに契約されていたということもあるのだろう。さて、学生街というのはとにかく若者が集うところだ。パーティ、パーティで、あっという間に、何十人単位、または何百人単位の大学クラスタが米国のあちらこちらで発生している。幸いなことに、若い人たちは重症化しないことが多い。そこで、ファウチ博士は感染・発症した学生を大学周辺にとどめて隔離し、実家に帰さないようにと大学に呼びかけている。実家にかえすことにより、家族を感染させたり、遠隔地にクラスタを広げたりするのを、できる限り避けるべきだと説明していた。なるほど。

2つ目の懸念は、今週末にやってくるレイバーデイウィークエンドと呼ばれる三連休だ。3月のロックダウン以降、米国では三連休が二回あった。5月のメモリアルデイ、7月の独立記念日だ。そして、そのどちらのウィークエンドも、その2週間後から一ヶ月後には大きく感染者数が跳ね上がっている。

米国には公的な祝日が少ない。多くの企業が同時に休む祝日は数えるほどしかない。そのため、そのような三連休の週末は常に特別感があって、通常、旅行に行ったり、家族や友達が集まることが慣習化している。これが、感染拡大の原因となるのだ。

ファウチ博士を始め、州政府や専門家たちが、連休には特に人混みを避けて、家族と過ごすようにと警告をしても、ビーチや公園が人々で溢れてしまう。ホームパーティも開かれてしまう。

ファウチ博士は「誰もが感染を伝播する人間にはなりたくはずです。問題の一端になるのは嫌なはずです。ぜひ、解決策の一部になってください。」と呼びかけていた。

三連休だからといって、特別なことをしないといけないと焦る必要はない。今年は、特別になにもしない三連休というのが、たぶんいい。家でのんびり寝坊をして、寝間着のまま映画を鑑賞するのもわるくない。半日かけて家族でごちそうを作って食べるのも悪くない。ブランチにシャンペン入りのミモザを飲んで、酔っ払ったら昼寝するのだってスペシャルだ。

米国の人は一生懸命すぎる。休むのすら一生懸命やりすぎだ。今年はぜひ、リラックスして安全で’頑張らない三連休をすごしてほしい。

 

 

 

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