シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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貯蓄の行方(ティア1)

米国の人はあまり貯金をしない。彼らはお金を社会の中で廻すのが得意だ。だから貯蓄率は通常低い。

パンデミックで米国がロックダウンした直後、そんな米国の貯蓄率は急激かつ大幅にあがった。なぜなら、政府から一時給付金や失業保険に上乗せされる特別手当が出て、一時的とはいえ、多くの人々が通常よりも現金を手にすることができたからだ。また、外食産業やレジャー産業が営業停止または縮小してしまったために、支出は減らざる得なかった。

しかし、数ヶ月立った現在、低収入の人々の支出は、パンデミック前のレベルにしっかりと戻っている。対象的に、高収入の人々の支出は全く戻っていない。そこで、高収入者の銀行口座には予期されないような大金が眠っていることになった。月何百ドル、月何千ドル、一年で何十万ドルのお金が使われずに溜まっていくという人たちは、現金を持て余して暮らしているのだ。

なぜだ?

答えは簡単で、高収入の人たちは在宅でオンライン勤務ができる職種の人間が多いため収入にまったく変化がなかったこと。にもかかわらず、以前に比べてお金を使う場所も機会も格段に減っていることが原因だ。

そもそも、低収入の人たちは、通常なるべく必要なお金しか使わないように生活している。もともと必要最小限の支出で暮らしていた人たちなので、パンデミックの前と後で、それほど支出レベルが変化しないのは当然なのだ。

一方で、高収入の人たちは、パンデミック前に必須ではない項目にお金をばんばん使っていた人たちだ。外食、高級衣料品、装飾品、嗜好品、旅行、パーティ、子供の習い事などなど、あげていけばきりがない。そして、そのほとんどすべてが、今、パンデミックが原因で利用できないものなのである。

例えば、夏のバケーションに10万ドルの旅行を予約していた家族は、キャンセルになり返金された。毎月親戚を訪ねる小旅行も中止だ。外食代だけで月1千ドルぐらいのお金が節約されるたりする。一人ぐらしの人ですら、通勤していたときに外で食べていた昼食を家で食べることで月500ドルほどの節約になると言われている。彼らは別に貯蓄をしたいわけでも、しなくてはいけないと思っているわけでもなくて、ただ、使いたくても使えない現金が銀行に貯っていくのだ。

現在、高収入、安定収入の人たちの間で現金が滞留している状態だが、その現金は、本来なら、外食やレジャーなどの様々なサービスに支払われ、最終的には低収入の人たちの懐にはいるべきものだった。パンデミックが米国にもたらした状況は、富める人たちの貯金を増やし、貧しい人の収入を減らして、ただでさえ大きい貧富の差をさらに広げる結果を導いている。

高収入の人たちの中には、この状況に罪悪感を感じる人もいて、サービスが止まってしまっているのに清掃サービスに毎月お金を払い続けたり、なじみの美容師に援助を贈り続けている人がいる。現在、政府によるパンデミック対策で減税しようという動きがあるが、これらの高収入のひとたちには全く必要のない対策で、むしろ社会のために増税されてもいいと言っている人たちもいる。驚くほど速いスピードで現金が貯まるので、頭金にして家を買う人がでてきたくらいだ。

ウィルスは、人間の年齢も人種も関係なく公平に感染すると言われているが、実際のところは、低収入の一定の人種が人口比よりも高い確率で感染している。彼らは感染リスクの高い職種についているからだ。本当に世の中には公平なんてない。

在宅勤務ができる我が家も、どちらかといえば、貯金が増えているほうなので、ジムには通っていいないけれど、会費を払い続けている。普段なら食べないようなお店で週に2回ほどテイクアウトしている。家電も、この機会に新しいのを買ったり、買い替えたりしている。もともと大した稼ぎじゃないので、それほどお役にはたてないけれど、お金を廻すお手伝いを少しだけでもしようかなと思う毎日だ。

 

 

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