とうとう適応したような気がする（ティア1）

シリコンバレーでロックダウンが始まったのが3月16日、3月15日までは店もレストランも普通に開いていて、誰もが普通に生活していた。3月16日を境にして、人々の生活は一転、家族以外の人間とはほとんど顔を合わせない生活となり、今日で5ヶ月半といったところだ。

最初のうちは一ヶ月ぐらいだろうと思っていた。5月ぐらいには、8月には友人とバーベキューぐらいはできるだろうと思っていた。その8月が来た頃には、あれ？これっていつになったら元に戻れるのかと考え出し、夏もほぼ終わりの今、やっと「ああ、このままNew Normalな生活がしばらく続くのだから、いつ終わるか考えるのは今はやめとこう」という感覚がストンと心に入ってきた。

これを慣れというのか。

新しいカリフォルニアの経済再開プランのウェブサイトを読んでいたら、なにかストンと納得がいって、気分が悪くなることもなく、あっさりと受け入れられるような気がした。これまでは、夏休みまで頑張ろうとか、新学期までがんばろうとか、具体的な線引をしながら半ロックダウン生活を続けてきたのだけれど、今はもう具体的な日付は想定しない。ワクチンが全員に行き渡るにはそうとうな年月が必要だと予想できるので、それがいつだか想定するのはもうやめだ。

その代わり、ウィルスと共存する半ロックダウン生活の中で、いかに生活を楽しむかを考えるようになった。いつまで続くかわからないならば、楽しみを先延ばしにするのは意味がない。がんばるのもやめ。現状で楽しく生活しなくては精神的にも健康的にも病んでしまう。

この5ヶ月半の間だって十分適応してきたつもりだったけれど、やはり慣れない生活リズムの中でちょっと緊張しているというか、過敏になっているというか、なんか頑張りすぎるところがあったような気がする。

この間わかったことは、私の周辺の生活は5ヶ月の間まったく変わらなかったのに、カリフォルニアの感染者と死者の数は乱高下したということだ。つまり、影響を及ぼしているのは私達ではなくて、バーやパーティや教会で集まる一部の人々だということがだんだん明らかになってきた。そこには私達の緊張感から無縁な人々の行動があったわけだ。ちょっと腹立たしい。

カリフォルニアは新しい経済再開システムのもと、今日から規制が緩和された。その経済再開システムの中に「普通」という段階がないことにはとても説得力があった。じゃあ、この再開システムの中で「新しい普通」な生活を楽しもうかなという気分になった。規制を守らないという意味ではない。規制は守ってリスクは低く暮らすこと事態は変わらないけれど、リスクを低く留める行動自体が「新しい普通」になってきていて、もう特に頑張らなくてもできるような気がする。

現在、シリコンバレーのあるサンタクララ郡は検査の陽性率も感染率も低く抑えられている。今日の新規感染者数は175人、その内新規入院者数は17人だ。現時点での全入院者数が138人。全人口が約193万人だということを考えればそうとう少ない数値と考えてよい。

その上、もう少し新規感染者数が減れば、経済再開システムの一番悪いティアから１ステップ上のティアにあがれる。この段階なら、友人とバックヤードで、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、個別にパッケージされたランチを食べても、感染するリスクは相当低いだろう。そんな風に、なにもかもやらないのではなくて、専門家がだいじょうぶだろうなと考えていることは、少しづつ始めてもいいかなと思う。カリフォルニア州が提供してくれるデータをみながら、今は大丈夫とか、今はやめたほうがいいとか、判断しながら、新しい普通な生活ができるような気がする。そして、そういう生活ならばあと一年でも二年でも、不便なことは不便だけれど、それほどフラストレーションを感じずにやっていけるような気がする。肩の力が抜けて、たぶんやっと本当の意味で適応してきたんだと思う。

ということで、手初めにイタリア製の全自動エスプレッソメーカーを購入した。ロックダウン前のカフェやらレストランやらで使っていた金額の数カ月分を考えれば、高級エスプレッソメーカーもすぐ買える。家で美味しいエスプレッソを作れれば、カフェに行く必要はなし。友人を庭にでもよんで、ソーシャルディスタンスを保ってマスクをしながら、カフェのつもりですごせばいい。

外出時に忘れがちだったマスクも、もう忘れることはない。感染者が減ったら、少し出かけるのもいいかもしれない。家族でハイキングやドライブにいくのは問題ないはずだ。

あ、なんか、一年でも二年でもいけそうだなと思った。