シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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予想できない緩和の行方(規制緩和フェーズ2・次の緩和レベルまで残り0日)

明日、シリコンバレーは規制緩和への大きな一歩を踏み出すはずだった。しかし、今はもうわからない。

シリコンバレーのあるサンタクララ郡は今週の初め、金曜日からの大幅な規制緩和を発表した。2ヶ月半の間、食料品の買い物と近所の散歩以外は、半幽閉状態だったシリコンバレーの住民に、マスク着用とソーシャルディスタンスを守る条件付きではあるが、生活必需品の買い物と運動以外の目的でも、外に出かけることを正式に許可したのである。

レストランのパテオでの飲食や小売店での店内でのショッピングが許可された。また、12人以下のクラスであれば、デイケアやサマースクールも許可された。25人以内であれば宗教関係の集会も許可された。営業条件は厳しいが、営業することすらままならずに苦しんでいたレストランや小売店や教育機関にとっては、これまでよりはるかに希望が感じられる緩和だった。

今頃、彼らは本当ならば明日の開店のために準備万端だったはずだ。

しかし現実は、規制緩和の発表とほぼ時を同じくして、シリコンバレーには夜間外出禁止令が発令されてしまった。今、全米を揺るがしている人種差別に反発する大規模なデモに伴う治安の悪化が原因である。多くのデモンストレーションは、パワフルでありながらもいたって平和的なものだ。警察や保安部隊との衝突も少ない。しかしいつの時代でも、大きなデモが起こると、それに乗じて違法行為を行う人やグループがいる。

ある者は、デモの興奮や怒りを爆発させて、街のゴミ箱や警察車両や公的機関の建物への破壊行為を行う。そして、またある者は単純に店やレストランを破壊して略奪行為を行う。どちらも違法行為という意味では同じだが、目的はだいぶ違う。これに伴い、現在、ダウンタウンのレストランや小売店は、破壊行為や略奪行為の被害を逃れるために、道路に面したウィンドウを板で覆っているのが現状だ。

ダウンタウンやショッピング施設の治安が悪くなり、夜間の外出禁止令が発令された状態では、規制が緩和されてもレストランや小売店がオープンするのは難しい。たとえ、リスクを覚悟してオープンしたとしても、夜間外出禁止令が出ている街に繰り出す人々がたくさんいるとは思えない。もちろん夜の8時半には閉店を余儀なくされる。

全米を揺るがしているこのデモは、一部の政治的な例外を覗き、多くの場合は人間性の尊重や正義感に燃える人々の集結であり、人種を超えた人々の団結だ。この国には、文句を言いながら与えられる変化をじっと待つという文化はない。彼らは、どうにかして変化をつかみ取ろうと、声を張り上げ、拳を振り上げ、身体をはる。

しかし、それによりこれまで2ヶ月半の間、息絶え絶えに1日でも早い営業開始を望んでいたビジネスに、意図せずして、さらに厳しい状況を与えてしまった。なんて悪いタイミングなんだろう。

なぜミネアポリスの事件はこのタイミングで起こってしまったのだろう。ただの偶然なのだろうか。それとも、このような事件は実は頻繁に発生しているのだろうか。もしそうなのだとしたら、なぜミネアポリスの事件は特別に人々を動かしたのだろう。

ウィルスとロックダウンと経済危機により、フラストレーションに震えている米国社会に渦巻く不安と関係があるのだろうか、とふと考えた。

 

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