シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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どうしても買えない物(ロックダウン20日目・解除予定日まで残り29日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

ロックダウンが始まって10日ぐらいは、世界中の例にもれず、シリコンバレーの店からも紙が消えた。トイレットペーパー、キッチンペーパー、ティッシュボックスが消えた。

本当に不思議なことで、なぜ紙なのかがわからない。最初に誰かが大量に買いだし、そのために店の紙類の棚が空っぽになり、それに困った人たちが次の入荷のタイミングで予備をたくさん買っていく。そこで、また棚が空っぽになり、それを見て焦った人たちもまた余分に買っていく。たくさんの人たちがこれを繰り返すので、いつになっても紙が棚に安定して並ばない。そのうちに、お店の方が一人が買う量を制限するようになって、それに伴って買う人たちも冷静になってきて、大きな店ならば紙がないということは減ってきた(小さな店は相変わらず売り切れているけれど)。

紙と同時にしばらく手に入りにくかったのは、玉子パンだった。

ロックダウン10日目ぐらいに玉子が尽きた私も探索の旅に出たが、玉子は本当に見つからなくて、食料品店を三件回ってやっと手に入れた。ちょうどイースターを目の前に控えている米国の大人たちは、まさか本物のエッグハンティングをする羽目になるとはと苦笑いをした。私が玉子を見つけた店でも、一度に50個近く買っていく人を見て驚いたものだ。そんなに買ってどうする?グリとグラのパンケーキを作るのかもしれない。

パンも呆れるほど見つからなかった。お店で焼いた焼きたてのパンはあるのに、ブランドが流通させている食パンのような普通のパンがどこに行っても売っていなかった。何しろこれらの普通のパンは冷凍保存が可能だから、買いだめにぴったりなのである。普通のパンがなければ、焼きたてのパンを買えばいいじゃないかとも思うのだが、パンがなければケーキを食べればいいと言って民衆を怒らせた人がいるように、やっぱり毎日の生活には普通のパンも必要なのである。ちなみに乾麺のパスタの棚も空っぽの日々が続いた。

こんな風にペーパーやら、玉子やら、食パンやらをハンティングする日々が2週間ほど続いたわけだが、最近はようやく商品が普通に棚に収まり始めた。タイミングが悪くなければ大抵のものは手に入る。しかし、今でも、まだ手に入らないものがあるのだ。

粉、小麦粉だ。どこに行っても粉がない。ちなみに、ベーキングソーダイースト見つからない。家にこもっている人々はどうやら相当料理をしているらしい。実際に、時間があるため、我が家ですら常時よりベーキングをしているのだから、ベーキングアイテムが主食の多くの米国人は、小麦粉とベーキングソーダとイーストを買い込んで、毎日パンやマフィンやクッキーを焼いているとしか思えない。しょうがないのでネットショッピングしようと思ったら、配達時間のスポットが空いていなかったり、配達料が高かったり、値段が5倍以上したりするので、ため息をついて諦めた。

きっと、これも店を数件回ればどこかで見つかるものなのだろうから、来週ガンバロウ。

なんで人は有事になると買いだめをするのだろう。某ニュースで精神科医が次のようにコメントしていた。

「人は自分がコントロールできない状況に立たされるととても不安でたまらなくなります。そして、せめて自分でもできること、自分でコントロールできることに意識を向け、力を注ぎ、それを達成することで、少しだけ不安から解消されるのです。でも、それはほんの一時の効果しかありません。倉庫や冷蔵庫に物がいっぱいになると、やっぱり不安は襲ってくるのです。このような不安感、焦燥感は誰にでも起こりうるごく普通のことですが、同時に自分でコントロールできるものでもあります。人々は落ち着けば、分の行動を制御することができるはずです。」

 

明日は、長い行列を作らないと買い物ができなくなった風景とそれが私たちに与える影響を報告する。

 

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