シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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買えないものが増える?(ロックダウン44日目・現時点の解除予定日まで残り33日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

快晴の日曜日、家の前のドライブウェイでお向かいに住む老婦人と2メートル以上離れたまま立ち話をした。ソーシャルディスタンスは守っているし、家からも離れていない。ちゃんと規制を守っているぞと思いつつ。

久しぶりに家族以外の知り合いと顔を合わせて話すので、ついつい話が弾んで色々情報交換をしたのだが、その中に不穏な情報があった。

お肉の不足が心配よね?

そんな話は知らない!慌てて、彼女に詳しく教えてもらった。彼女のご主人は、今は引退しているが元は肉切り職人だった。そのため、今でも食肉業界の情報に詳しい。

彼女から聞いた情報を元に、ニュースを検索してみると、情報がぞろぞろと出てきた。米国の中東部ではすでに先週から話題になっていたそうだが、最近になって米国の大手の食肉加工工場が次々と閉鎖されている。原因はウィルスだ。全米で食肉加工工場の作業員が何千人も感染し、10人を超える死者が出ている。感染者の多い工場は閉鎖を余儀なくされ、従業員のウィルステスト、工場の消毒、そして、現在不足しているマスクを筆頭に感染の予防策も必要となった。

この工場閉鎖の影響で、食肉の出荷量が減り、豚肉に至っては従来の25%も減少しているという。それに伴い、影響が比較的少ない鶏肉と牛肉の需要も上がって、食肉全体の値段が徐々に上がってきているというのだ。明けて月曜日のニュースを読んでみると、事態は進んでいて、今週末にかけて、食料品店の肉の棚に肉が並ばない現象が発生する可能性があると報じていた。

まさか、こんなところにウィルス感染の影響が出ようとは。とんだ伏兵である。紙類、粉類については、未だに買いにくい状況が続いているはいえ、正しい時間に正しい店に行けば買えないことはなくなってきたというのに、今度は肉が買いにくくなるのだろうか。

ニュースではパニック買いへの警告を鳴らしていて、あくまでも工場閉鎖に伴う一時的な現象であるので、パニックにならないようにと注意を促しているが、このニュースを読んで不安にならない人はいないだろう。

通常、こういうことには腰の重い私も、さすがに冷凍肉を少し補給しておこうと、火曜日の今日、コスコに出陣することにした。鶏肉はなかった。あの大きなコスコの棚の鶏肉セクションが空だったのだ。どうやらすでに、パニック買いか、流通問題が起こっているらしい。豚肉もいつもの量の30%ぐらいしか見当たらずスカスカだ。幸いなことに牛肉はたっぷりと並んでいた。もし牛肉の棚もスカスカだったらちょっと不安になったと思う。鶏肉は諦め、コスコ特有の豚肉の巨大パックを1つ買って、残りはハムとかソーセージとか加工肉を買って帰路についた。

すると、偶然、別のコスコに買い物に行った友人からグループチャットが入ってきた。彼女の行ったコスコでは鶏肉はたっぷりあったけれど、豚肉は全くなく、牛肉はほぼ空になった棚を埋めるために、奥からどんどん肉が出てきている様子だったという。店によって不足している肉が違うところからして、流通の問題というよりは、パニック買いによる品不足らしい。まあ、自分も買いに行ったんだからな、と自嘲する。

帰ってきてから疑問に思うことがいくつかあって、再びニュースを読み始めた。そこで新たに2つの発見があった。

1つ目は、なぜ食肉業界だけがこんなにも深刻にウィルスの影響を受けたのかということだ。どうやら米国の食肉加工工場の環境は、そのほかの食品の加工工場に比べて非常に悪いことがわかった。短い時間でたくさんの商品を供給する効率のために、従業員の安全が犠牲になっているらしい。道具は危険、床は滑る、そして、いちばんの問題はベルトコンベアーについて作業をする従業員たちの間隔は1メートルぐらいで、すし詰めで作業をしているらしいのだ。密閉された室内空間にたくさんの人間が密接して作業をしている。まさしくCOVIDの大好物である。

2つ目は、カリフォルニアの食肉流通のについてだ。実はカリフォルニアの食肉流通は中東部の大企業が独占している流通とは一線を画しているというのである。カリフォルニアはカリフォルニアの農家の肉がカリフォルニア内で流通していることが多いらしい。となると、実はカリフォルニアでは、米国のほかの土地で懸念されているような食肉不足は起こらない可能性も相当高いのである。

さすがカリフォルニア!肉も野菜も自給自足できる広大な土地に感謝したい。今日、鶏肉が買えなくても心配することはなさそうだなとホッとする。そもそも一時的な問題なわけだし、それならば一時的にでも菜食主義になることだってできるのだ。でも、それを本当に実行すると、我が家のティーンエイジャーが呪いの言葉を発しそうなのでできないけれど。

今週は食肉流通状況を確認しながら、明日は別の注目のニュースを追っていこう。

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