シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチン接種最先端国家はイスラエル

世界で最もCOVIDのワクチン接種が進んでいるのはイスラエルである。

現時点で国民100人につき76.25の接種がすでに行われているというのだ。イスラエルはファイザーを使っているので、この中には1回しか接種していない人と2回接種した人が混ざった状態なのだが、それでも12月20日前後から2ヶ月もたたないことを考えれば驚異的な数字である。60歳以上の市民に関しては80%の接種率、また、16歳以上であれば待機する必要なくいつでも接種可能な状態だそうだ。

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国民100人に対するワクチン接種数

なぜにこれほどワクチンの配布と接種が速いのか。理由は複数ある。

まず、イスラエルはファイザーとのワクチンを非常に高額で取引をした。EUが1ショット12ユーロで購入しているものに23ユーロ支払う契約をしたのだ。この値段の差を聞けばイスラエルに優先的にワクチンが配布されても文句はいえない。その上、契約はインターネットを通して迅速に完了させ、万が一ワクチンによる事故が起こった場合の責任に関しても、EUはファイザー側に取らせるように契約を進めたのに対して、イスラエルはファイザーにそれを課さなかった。このため、契約も取引も非常に早く進み、十分な量も確保できたのだ。

その上、イスラエルの医療機関はデジタル化が進んでいる。これは接種にも役立つが、データ収集という意味でも重要だ。イスラエル政府は、高度にデジタル化が進んだ医療データのなかから、ワクチンの接種に関連するデータをファイザーに提供するという合意をした。ワクチン接種した人数、性別、年齢層、健康リスクの有無、接種後の経過、感染防止効果、これらの大量のデータはファイザーにとっても、イスラエルを追いかけている世界各国にとっても非常に重要になる。

2日ほど前にイスラエルから発表されたデータは非常に勇気づけられるものだった。ワクチンの接種の効果は目に見えるほど明確だったのだ。

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イスラエルの感染状況グラフ

この表から読めるなにがすごいのかというと、折れ線グラフの水色のグラフに注目してほしい。水色のグラフは60歳以上の年齢層のグループである。重症者や入院者の数が、1月後半からオレンジのグラフと交差しており、60歳以上の患者のほうがオレンジの線である40歳から60歳未満の患者よりも減っているのが明確だ。

そして、最下段のグラフを見ればわかるように60歳以上の市民は優先してワクチンが接種されたため、1月の初旬で第一回接種は70%を超え、現在は80%を超えている。ワクチンの接種から免疫が獲得されるまで2週間と言われているが、60歳以上の患者数が急激に減りだしたのが1月25日前後なのだが、これはちょうどワクチンの接種が70%を超えた時期から2週間後なのである。データがあまりにも科学理論にピッタリ当てはまりすぎていて、驚くぐらいだ。

また、このデータには、よりよい情報が含まれている。ワクチンの接種により重症化が減少してるだけではなく、感染が陽性になっている人の数も相当減ってきているのだ。ワクチンに感染防止効果もあることが明確である。

このデータによって、世界の医療関係者は多いに胸をなでおろしているに違いないが、それもワクチンの接種が進まなければ意味がない。現在米国は100人につき16接種という寂しい現状となっているうえに、現状では常にワクチンの供給が足りていない。今後、改善されていくとは思えるが、それでも一般の人が接種できる目安は4月といっていたのを、今日ファウチ博士が5月か6月に延期した。

同時に、ファウチ博士はイスラエルを始めとした世界から集まる最新情報を元に、ワクチンの接種が感染率を低くする可能性が高いことを指摘して次のように締めくくった。

 

接種できる順番が来たら、自分のためだけに接種するのではなく、コミュニティや家族を守るために、速やかに接種をしてほしい。個々人のワクチンの接種は、社会のためにとても重要であると考えてほしい。

 

米国では、社会を個々人の自由意志より優先するのが本当に難しいことは、パンデミックの米国で1年過ごしてきて身にしみた。

それでも、やっぱりもう一度願いをかけるのはやめられない。

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