クリスマスショッピングは必要ない
カリフォルニアをめぐるニュースは相変わらず鬱々としている。
現在カリフォルニアの累計感染者数は200万人を突破したが、最初の100万人に到達するのには 10 ヶ月かかったのに、残りの 100万人を追加したのはたったの 6 週間だった。これだけでも現在のカリフォルニアの感染が指数関数的で、完全にコントロール不能な状態であることがイメージできると思う。
カリフォルニアは10月末ぐらいまで、ほかの多くの州と比べれば感染拡大をうまく制御していた。もしかして、制御しているように見えていただけなのかもしれないけれど。しかし、一端ヒビが入った防御壁は、このウィルスの特徴である強い感染力の前にあっという間に崩壊し、今や米国トップクラスの危機的な状況に置かれている。
とにかくカリフォルニアは人口が多い。この人口でこの勢いで感染が広がると、感染者数も、入院者数もとてつもない数字になる。新規感染者数は毎日4万人を超えているし、入院者の数は現在1万8千人近い。
その勢いは春のニューヨークの医療崩壊と比べるとわかりやすいと思うのだが、当時ニューヨークの入院患者数は前の週に比べて12%増えていた。今週のカリフォルニアは先週に比べて27%の勢いで増えている。どこかで止まってくれなければ医療崩壊は確実に起こるし、そうなるとベースになる人口を考えれば、ニューヨークより悲惨な状況を作り出す可能性がある。
すでに南カリフォルニアでのあちこちの郡でベッドが足りない状況が起きているのだが、実は一番足りないと言われているのはベッドではなくて人員だ。現在、州政府はオーストラリアと台湾に医療スタッフを送ってくれるように要請中している。彼らが応じてくれるかは未だ不透明だ。
さて、昨日も書いたように、シリコンバレーのあるベイエリア領域は一日あたりの感染者数が横ばいになってきた。といっても一日1500人の新規感染者の状態で横ばいになったので、まったく安心感はない。安心感は無いが、ICUの残りベッド数が減らなくなってきたのは心強い。
じゃあ安心なんじゃないかというと、そんなことはまったくない。なぜなら、ちょっと南に行けばすでに ICUベッド数はゼロであり、そのような地域から協力を要請されれば、患者を受け入れなくてなならないケースも多い。15%のICUベッド数というのはあっという間に消費されてしまう数なのだ。
医療崩壊を回避するには、とにかく拡大を食い止めなくてはならない。州政府は住民に可能な限り家にいるようにと呼びかけているのだが、それでもアウトレットがクリスマスショッピング客で賑わっているというのだからお手あげだ。そもそも、アウトレットをシャットダウンしていない州政府にも問題がある。
アウトレットモールの買い物客はこう言っていた。
「ホリデーシーズンに子どもたちの欲しい物を手に入れてあげられないのは嫌だわ。ときには、やらなきゃいけないことはやるものよ。」
この人も昨日の人に続いて子供をだしにしている。こんな言い訳は幻想だ。子供は大丈夫。お母さんが楽しそうに一緒にいろいろ遊んでくれれば十分幸せだ。プレゼントだってショッピングモールで手に入るものなど、大抵オンラインでも手に入る。そもそも、世界中には「欲しい物を手に入れることができない子供」のほうが多いけれど、それでも子どもたちはたくましく笑っている。冗談もいい加減にしてほしいと、心のなかで呪ってみた。
欲しい物を手に入れられないことで子供がかわいそうになるなんて馬鹿げている。子供はそんなことでかわいそうにはならないし、そんなことでかわいそうになってしまう子供にしか育てられなかったら、それは親として問題だ。欲しい物が手に入らなかった時に、どうやって生きていくのかを教えるほうが、よほど子供の将来のためになる。物のあるなしで幸せを測るように育った人は、一生物に支配され続けることになる。
確かに物はないよりもあったほうがいい。でも、それが幸せの尺度ではない。それを子供に教えることは大切だ。