シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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医療崩壊の足音(パープルティア)

米国の感染拡大のニュースを追いかけていると、あまりに重苦しすぎて気分が鬱々としていくる。かといって、見て見ぬ振りをして安穏と暮らすのは卑怯な気がする。なのでやっぱりニュースを読む毎日だ。

そしてニュースを読めば読むほど、今度は怒りが湧いてくる。こんなにたくさんの医療従事者やジャーナリストが医療崩壊を食い止めようと必死に訴えているのに、何百万という米国人がサンクスギビングのために旅行をしたことを知り、自分勝手な人たちに対して怒りが湧いてくる。同時に、こういう人たちには誰がなにを言っても無駄なのだと再認識して投げやりな気分にもなる。

昨日の米国の死者は1千3百人超、新規感染者数に至っては16万人超である。この数週間の急激な増加を、データとして見るだけではなく、これに向き合っている医療関係従事者や病院の話と共に聞くと、これらの数字の読んだ者にとって大きな意味を持ってくる。

医療崩壊は米国の田園地帯では、すでに訪れているといっても過言ではない。ウィスコンシンで、ミズーリで、ニューメキシコで、ウィルスとは関係ない症状で救急に運ばれてきた人が、ウィルス患者で溢れたICUのベッドが足りなかったり、緊急処置を施す医療従事者が足りなかったりして、ストレッチャーに乗ったままの状態で、病院の廊下に置かれ痛みに耐えながら長時間も待たされたりしている。また、緊急オペが必要な患者を大きな病院に転送しようにも、緊急オペを処置できる余裕のある病院が見つからなくて、数時間以内にオペが必要だという状態の患者が1日以上待たされ、命をリスクに晒すような状況がすでに始まっている。

米国は広い。広大な国土に広がって居住する人達のためにポツリポツリと点在する田舎町の小さな病院たちは、人口に比例して施設がかぎられているので、感染の波がくればあっという間に入院ベッドが埋まってしまうし、医療従事者の数も足りなくなる。通常なら看護師に12時間シフトを一週間に3回入ってもらっていた地方の病院が、今は12時間シフトを週5回、可能なら6回入ってもらうようにしてもらわなければ患者のケアができない状態だというも珍しくない。担当する患者数も2人から3人、4人と増え、防護服に動きを制限され休みも十分にとることができず、看護師も医師も疲労困憊している。250日以上連続して働き続けている医師の記事もあった。

小さな病院はあまりの厳しさに、周辺のより大きな病院に、どうか1人でもいいから患者を引き取ってくださいと願い出るが、大きな病院もすでにギリギリの状態で新規感染者を抱えている状態なので、別の病院からの転送を受け入れる余裕はもうない。この現状では、ウィルスの患者だけではなく、それ以外の病気の患者の命すら危険だ。医療体制が十分に整っていれば助かるような患者が助からなくなるかもしれない。

そんなニュースを読んで、サンクスギビングホリデーを規制をきちんと守って、家族だけで美味しい料理をテーブルに並べてシャンパンで乾杯しても、今この瞬間にも、誰かがベンチレータに繋がれて苦しんでいたり、その家族が患者の手をにぎって勇気づけることすらも許されずに不安に苛まされていたり、クタクタになった医療従事者がその体にも精神にもムチをうって患者を助けようと奔走しているだろうことを知ってしまうと、単純に楽しむことだけはできない。

現在の入院患者の伸びでは、今後数週間のうちに、これまでの倍以上の速さで死者の数が伸びる可能性がある。同時に、サンクスギビングに旅行をしたり、集まってディナーを食べたりしたことの影響で新規感染者数も今以上のペースで増えると予測されている。

一般人の私達にできることは健康でいること。病院に1人でも多くの負担をかけないですむように、ウィルス感染はもちろんのこと、その他の病気も怪我もしないで、パンデミックを乗り切ること。それだけしかできることがないので、家族と家に閉じこもれる幸運に感謝しながら、気をつけて過ごしていこう。

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