シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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気力の喪失(パープルティア)

11月18日、米国のCovid19による公式の死者数が25万人を超えた。昨日1日の死者数も1千5百人を有に超えている。1日の新規感染者数に至っては15万人を超えている。

つい1ヶ月前までは1日あたりの新規感染者数が7万人を超えていることにショックを受けていたというのに、今はその倍以上の新規感染者数が毎日記録されていく。入院者数も3月のエピデミック拡大からの最高値を記録している。今や米国のエピデミックは想像を絶する拡大速度で広がっている。

この厳しい冬に向かうニュースの中で一筋の灯りをあげるとすれば、感染者数の死亡率はエピデミック初期に比べて大幅に下がっていることだ。医療関係者の8ヶ月に渡る経験と努力の成果により、より多くの入院患者の命を助けることができるようになっている。正式な特効薬は認められていないものの、患者へのさまざまなケアの工夫が共有されることにより、どのように対処することでより高い確率で患者を救えるかが知識として広まったおかげだ。医療関係者たちの努力には感謝しすぎることはない。

しかし、だからといって現在の感染の大波による死者が低く抑えられるのではと期待することは残念ながらできない。そもそも感染者と入院者の数が、初期の頃と比べ物にならないほど多すぎる。どんなに死亡率がさがっても、母数が大きければ、死者の数も増えて当然だ。また、地域によっては、医療機関やスタッフが患者の増加に追いつかなくなる医療崩壊の可能性が迫っている。医療崩壊がおこれば、その地域の患者のケアは十分に行き届かなくなり、それに伴い助かる可能性がある命まで助からなくなる。

すでに、米国の一部の地域では、医療スタッフは精神的にも肉体的にもギリギリで働いている。現在の連日のように最高記録を伸ばす感染者の拡大は、彼らの疲労とストレスと絶望感にさらに拍車をかけている状態だ。そして、今まで最も感染拡大の勢いが高い最悪のタイミングで、来週、米国の感謝祭がやってくる。

医療関係者たちは米国民に、どうか感謝祭のパーティをやらないでほしい、感謝祭の為に帰省しないでほしいと懇願しているのだが、その願いは多分に無視されている。多くの人々は着実に感謝祭や帰省の用意をしているし、パーティや旅行の前に感染テストを受けておこうとする人で、各地のテストサイトは満杯だ。こういう人たちは勘違いをしている。感染テストはパーティを開くための免罪符ではない。

ソーシャルメディアの覗くと、ハロウィーンのパーティにはじまり、多くの人々がレストランやホームパーティで集まって楽しんでいる写真があふれている。そして、そんな彼らが感染すれば、助けてくれと病院にやってくる。医療関係者たちは、感染を広めないように協力を呼びかけては無視されているのに、協力しなかった人々が感染して入院してくれば、自分たちの命をリスクにさらして助けなくてはならない。そんな理不尽にさらされている。

そのような無責任な人々に加え、一部の地域では未だにウィルス感染をでたらめだと思っている人々が相当数いるらしい。現在米国で最も感染者を出している州の1つであるサウスダコタの医療関係者のツイートによると、ちょっと信じられないことだが、感染者の中にはベンチレータに挿管されるときまでコロナウィルスの存在を否定している人たちがいるらしい。患者たちは自分たちの具合が悪いのはなにか別の原因だろうと考え、コロナウィルスなど存在しないのに、なぜ看護者たちが防護服を来ているのかと苦情をいい、その苦情やむのは、彼らが挿管されるときだという。医療関係者たちは、自分たちが感染しているウィルスの存在すら信じない人々を、そのウィルスから救うために命をリスクにさらしている。

話を聞いているだけでもやりきれない。医療関係者の中には、精神的な健康を保つためにやむを得なく戦線離脱する人々もでてきている。無理もない。

こんな息詰まる医療関係者たちのエピソードが毎日のようにニュースになるのに、それでもまだ多くの米国人は感謝祭のパーティを催すのだろうか?そもそも彼らはなんで諦められないのだろう?一年に一度の家族や友人と集うという習慣を一生に1回でもスキップできないから?パーティどころか休む時間も惜しんで、感染者を救うために働いている医療関係者の懇願が聞こえないほど鈍感だから?そしてなにより、自分と家族や友人の健康へのリスクに気づかないほど愚かだから?

感謝祭パーティは先にのばすことはできる。しかし、大切な人が亡くなったら、それは取り返しようがない。また、パーティで感染がさらに拡大して、医療崩壊を招きり、無数の遺体を埋めながら、コミュニティーをロックダウンしなくてはいけない状況を招くかもしれない。

そんなリスクをとる価値があるかどうか、もう一度人々は考える必要がある。私達は確かに長く続く自粛状態に疲れている。みんなそうだ。でも、ウィルスは疲れることを知らない。それどころか私達の疲れに漬け込んで更に勢いを増している。1人でも多くの人が、周りの誰かになんとなく同調するをやめて、自分の力で考えて、もう一度感染拡大と戦う意思を取り戻してほしいと願った。

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参照:

www.thelily.com

 

 

 

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