シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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まだ選挙が終わらない(オレンジティア)

昨日に引き続き、まだ選挙が終わらない。しかし、昨日とは決定的に違うこともある。木曜日の間に開封された郵便投票により、バイデン氏が大幅に追い上げ、最終的な勝者はバイデン氏になるであろうことがほぼ確実に予想できる状態になっていることである。明日中にはほぼ決まるのではないかと思われる。

選挙が始まる前に、郵便投票の数から、結果を確定するのは金曜日ぐらいになるかもしれないといっていたメディア各社の予想の正しさを評価したいと思う。

さて、選挙が終わったからといって、その後のプロセスが問題なく運ぶとは誰も思っていない。これも選挙が始まる前から様々な憶測が飛んでいたので、誰も驚かないのだが、トランプ陣営は当然のように複数の法廷闘争の準備を始めた。今後なにがどのように進むのか、揺れる米国はまだ激震状態だ。

そんな木曜日の新規感染者は、昨日に引き続き最高値を更新してしまった。なんと1日の新規感染者数がで12万人と発表されている。

特に最近感染拡大が顕著な中部での感染者数は相当に厳しい。人口10万人あたりの累計感染者数で州を並べてみたのが下の表だ。上から半分ぐらいまで、ウィスコンシンを除くと今回の選挙で共和党が勝った州となっている。ウィスコンシン州はスウィングステイトで、今回の選挙で共和党から民主党に鞍替えした州である。

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実は、このデータには驚くべき点はない。なぜなら共和党は、ビジネスを助けるために感染防止の規制はなるべくしない方向でパンデミックを乗り越えようとしてきたからだ。もちろん、マスクの着用やソーシャルディスタンスの推奨はしてきたが、基本的には個人の選択にまかせており強制はしていない。なので、感染者が多いのは不思議でもなんでもないのだ。

共和党の論理では感染者が多いのは、より多くのテストを行っているからだということになっている。それでは人口10万人あたりの死者数で並べ替えてみることにしよう。

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最上位には、米国エピデミックの初期にオーバーシュートしてしまったニューヨーク周辺の北東部が並んでいる。民主党中心のラインナップなのだが、彼らは規制する暇もないままあっという間に感染の大波にのみこまれてしまった不幸な州だ。

後続はずっと本選挙前に共和党が制していた州が並んでいる。どうやら感染者が多いことと死者が多いことは、完全には切り離すことはできそうにない。ちなみに、上の表に載っているアリゾナ、ミシガン、ジョージア、ペンシルバニアは、まだ決定してはいないものの、今回の選挙で民主党に鞍替えする可能性が考えられている州だ(ミシガンはすでに決定、ジョージアはほぼ互角で現時点ではどちらにも転ぶ可能性がある)。

さて、私が7ヶ月ほどこの日記を書いてきて単純に疑問だったことは、なぜ共和党に多い保守派の人たちは感染拡大のための規制を頑なに拒否するのだろうということだった。厳しいロックダウンが行われた初期はともかく、その後の規制は、緩和され、それほど無理がなくなった。ビジネスに対する規制を拒否する気持ちは、私もスモールビジネスの所有者なので理解できるところがある。しかし、マスクの着用、ソーシャルディスタンスを確保、イベントやパーティの規模の規制などが、なぜそんなに嫌悪されるのかがよくわからなかったのだ。どの行動もそれほど難しくないし、ちょっと我慢するだけで自分のコミュニティから感染者と死者を減らすことができるのならば、それくらいやってもいいんじゃないかと思っていた。

今回の選挙戦を含め様々な人々のインタビューを見ていて、1つの腑に落ちた答えを見つけたような気がする。誰が言っていたのか覚えていないのだが、こんなコメントがあったのだ。

感染するかしないかは神の技だが、ロックダウンは違う

ああ、これだなと思った。まさしく保守派らしいコメントだと思う。米国の保守派の多くは敬虔なキリスト教信者だ。彼らにとって、病気にかかって死ぬことは、神の技、避けられない運命だと考えることもできるのだ。

しかし、科学を基に作られた規制により、伝統的な生活様式を変えるように強制されることは許されない。神の作った世界とは無縁のものだ。そもそも昔から、科学と宗教はうまく相入れたことがない。科学は、多くの場合において、宗教の伝統的な価値を奪いながら発展してきたことを考えれば無理もない。

ようやく、保守派の人々がマスクをせずに集まり続け、それによって感染することを恐れない理由が少し理解できるような気がした。人の価値観は自由だ。彼らの生きる上で大切な価値観を単純に否定することはできない。

ただ、それでも、やっぱり、科学の力で1人でも多くの命を救えるのだとしたら、少しだけ歩み寄ってもらえないだろうかと考えるのは、きっと甘い考えなんだろう。

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