シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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選挙が終わらない(オレンジティア)

大統領選挙の投票日の火曜日の夜は、久しぶりにCOVID19以外のニュースを読んで過ごしたが、過半数のマスコミが予想したように投票日中に結果が出ることはなかった。そして、翌日の水曜日も一日中集計が行われていたのだが、まだ最終結果はでていない。

いったいどうしてこんなことになったのかというと、もちろんCOVID19のせいである。今回の選挙はウィルスの参加なしには語れないのだ。

もちろん各候補が表明しているパンデミック対応は重要だ。今後の米国の感染対策を占う重要な選挙の争点の1つであったことは知られているが、実はこのウィルス、もう1つ選挙に重要な側面をもららした。

郵便投票である。

寒い季節に長蛇の列に並んで投票をするのは、たとえパンデミックがなくても風邪をひいたり、インフルエンザに感染する危険性がある。また、年配者や基本疾患のある人は、そもそも投票所に来て投票することのリスクが相当高い。その上、米国のエピデミック状況は改善するどころか悪化の一途をたどっていることを考えれば、郵便投票を選択した有権者の多さには疑問の余地がない。特に民主党の政治家は、郵便投票によって安全に投票することを勧めていた。

これにより、なんと6千5百万票以上が郵便投票で投票されたのだ。今回の総投票数が1億5千から6千万ぐらいになると予想されているので、三分の一が郵便投票されたということになる。

この郵便投票の集計が曲者なのだ。通常の投票であれば、投票所で回収された票が機械的に数えられるので、集計結果はあっという間にでる。投票所が閉まった後、数時間でだいたいの結果が予想できるのはこのためだ。

しかし郵便投票は違う。郵便投票用に郡当局に雇われた作業員は、封を開け票の有効性を確認する作業をしなくてはならない。これは人間の手を介して行うことしかできないため、郵便投票の集計はまさしく人海戦術だ。それも現在のエピデミック真っ只中の作業である。作業員たちがマスクやフェイスカバーをつけ必死に作業をしている映像が写って、大変そうだなあと思った。郡によっては、あまり広くない部屋にプラスチックの衝立で区切られたブースに入って作業をしているところもあり、感染の心配もあるだろうなと思った。たぶん事前に感染テストを受けているとは思うけれど。

とにかく、人の手が入れば、物事はそれ相応に遅くなる。何万何十万何百万という票が郵便で届いた郡にいたっては、いったいいつ最終結果がでるのかすら断言できない。水曜の夜中かもとか、木曜日昼ぐらいかもとか、金曜日かもとかいいながら、どんどん最終結果の確定が伸びていく。

もちろん、こういうことが発生する可能性は開票前から予想されていたのだけれど、実際発生してみると、ああ、こういうことだったのかと肌で実感する。とにかく結果がでない。そして、得票数は非常に遅い歩みで進んでいくのだ。特に接戦を展開している州では、その攻防はまさしく、ジワリジワリという擬態語がぴったりの様相で追う立場の候補が追われる立場の候補をつめていく。そして、それがいつ終わるのか、あとどれくらいの票が残っているのかも、私達にはわからない。見ている私達は、とてつもない忍耐力を求められ、ストレスを募らせていくのだ。

30分や1時間おきにメディアのサイトを更新しては、結果がどれだけ動いたかを確認して水曜日が過ぎた。もちろん、その間に結果が決まった州もある。しかし、最終的な勝利者を決めるのに決定的な役割を果たす州の結果は、結局水曜日中にも出ることはなかった。もちろん、現在の状況から、様々な人が今後のシナリオを描いてメディアで報道している。が、どれも可能性に過ぎず、最終的な結果は「最後の一票までかぞえる」必要がある。

最後の一票まで数える」は、今まさに選挙のデモで唱えられているスローガンだ。興味深いことに、共和党の支持者も、民主党の支持者も、接戦の最後の最後のフェーズである今、追う側の立場にたたされたそれぞれの州で、同じスローガンを訴えている。

「最後の一票まで数える」のは民主主義の基本だ。この国の民主主義は、まだ生きていると信じたい。

 

そんな風に選挙の熱気に包まれたニュースの裏で、米国の水曜日の新規感染者数は再び10万人を超え、米国エピデミック始まって以来の最高値を記録してしまった。この日は死者数も1200人を超え、選挙報道がなければ大きく報道されたことだろう。

この選挙でトランプ氏が勝てば、感染をコントロールしないでワクチンの開発にかけるという方針なので、今後しばらく、これらの数字はさらに大きくなる可能性がある。挑戦者であるバイデン氏が勝てば、感染をコントローするための方針を出してくると思うので、それ次第で感染拡大の勢いは収まっていくかもしれない。

しかし、残念ながら大統領選の結果はまだわからない。あまりに接戦なので、投票数の集計の後ですら、法廷闘争が予想されている。その上、どちらにせよ大統領の就任は1月初めなのだ。何十万人が苦しみ、何千人が亡くなっていく毎日だが、今の状況に対して実際になんらかの動きが発生するのは、ワクチンが認証され一部の人間にでも摂取できるようになるか、1月に今とは別の方策を持った大統領が就任するか、このどちらかが一番近い道となる。

つまり、どちらにしても、現状況を変える方策はすぐには発生しないだろうという苦しい現実なのだ。ファウチ博士もビークス博士も、米国のいたるところで医療危機が発生するかもしれないと警告している今、この時に、打つ手がないのは実に辛い。

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