シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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今のところティアシステムは働いているようだ(ティア2)

7月下旬から8月にかけてのピーク以来、減り続けていた米国の新規感染者がまた増えだした。残念なことだ。最初は短期間のデータのぶれかなと思っていたけれど、残念ながら米国の感染状況は再び右肩上がりになるらしい。

今回の感染拡大は中央平原がその舞台だ。米国の感染拡大の舞台は、ニューヨーク中心の東海岸に始まり、そこが収まったところで南部、西部と広がった、それらが落ち着き出したところで、今度はいままで逃れてきた真ん中がやられている。どうやら、人々は一度は危機的な状況を経験しないと気がすまないらしい。

さらに心配なのは、悲劇的なオーバシュートを体験して以来、感染を非常に低く抑えてコントロールしてきたニューヨーク周辺の州が再び増加傾向に向かい始めたことだ。これは、秋に向かうに連れ肌寒くなり室内で過ごすようになったことや、長い自粛に疲弊し、また6ヶ月前のストレスの記憶がうすれた人々の気が緩んだ結果らしい。

人間の記憶は苦しくて辛いことは忘れやすくできている。これは大抵の場合は良い方面に働くが、今回のパンデミックに関しては悪い方向に働きがちだ。まだ、忘れるには早い。私達には、これからさらに6ヶ月以上の忍耐が求められている。

幸いなことに、今の所、カリフォルニアの感染者は夏のピーク以来減少傾向を続けている。他の多くの州が再び増加方向に向かい出したことを考えれば、これは誇るべきことだ。

カリフォルニアが未だに減少傾向を続けている理由はいくつかあると思うのだが、その一つに気候がある。秋がきて涼しくなったカリフォルニアはまさにアウトドアが気持ちの良い季節だ。この季節はもともと人々は室内にこもる必要はなく、パテオダイニングを始め、いろいろなことをアウトドアで楽しむことができる。

そして、もう一つは山火事だ。秋の初頭から大規模な山火事で空気が汚染された期間が長く、その期間は人々は反対に完全に自宅に閉じこもった。様々な不安を抱えながら、自宅に閉じこもっていた間は苦しかったし、山火事の被害を受けた人々には本当に気の毒だったけれど、少なくとも感染拡大を促すすべての行動は必然的に自粛され、感染縮小にもつながっているのでは無いかと思う。

そして、最後に誇りとともにあげたいのは、カリフォルニアの厳しいティアシステムである。再挑戦」で詳しく説明しているカリフォルニアの規制緩和ルールであるティアシステムは、今の所非常によく働いているようだ。

ティアシステムの特徴は、カリフォルニアの郡が規制を一段階(1ティア)緩和するには、上のティアの新規感染者数やテスト陽性率の条件を2週間以上達成しなければならない。2週間良い成績を出し続けて、初めて1ティアあがれるルールになっている。同時に、1ティア上がった後も、そのティアに最低でも2週間はとどまらなくては、次のティアにはいけない。これにより、仮にある郡がとてつもない良い成績を急激に達成した場合でも、一挙に2段階あがることはできなくなっている。つまり、規制の緩和の進行が、最速の場合でさえ、とてつもなく遅くなるように設計されているのだ。

また、各ティアの中にも細かい段階がある。たとえば、現在シリコンバレーが留まっているティア2は、学校を段階的に再開することができるが、学校再開はティア2に2週間以上留まれたら開始してもよいという条件がついている。そして再開方法も段階的に行うように規制されている。そこで、ティア2に入ってからすでに4週間ほどたっている今でも、公立学校に登校している生徒は非常に限られていて、ほとんどの生徒はオンライン授業のままだ。

このティアシステムになってから、公共の場でのマスクは以前に比べて非常によく守られている。なにしろ、ティア条件を達成できない状態が2週間続けば、1ティア落第しなくてはいけない。やっとのことで手に入れたより自由な状態を失いたくない人々は、感染再拡大を起こさないように注意を払うようになる。もちろん州民全員が素直に言うことを聞いているとは思えないけれど、75%ぐらいの人々がルールに従うことができれば、感染拡大はだいぶ抑えられる。

このティアシステムは、6月の規制緩和に失敗して、あっと間に感染者を激増し、社会的なストレスが急激に上がった経験をカリフォルニア州民が忘れないうちに構築された。あのときのストレスは徐々に忘れられているような気がするが、厳しく構築されたシステムが人間の記憶を補完してくれている。

さて、今後本格的に寒くなっていったき、人々が集まるホリデーシーズンが近づいてきたときに、カリフォルニアはどこまでティアシステムと共に踏ん張れるだろうか。今の段階では未知数だ。ただ、冬を迎える前に感染者の数をできるだけ減らし、陽性率や感染率を可能な限り低くしておくことは、たとえ増加傾向にかたむいたとしても、すでに増加傾向に傾いている州にくらべれば、低く抑えられる可能性が高い。

幸いまだまだカリフォルニアは良い気候が続く。11月の半ばぐらいまではアウトドアでいろいろできる気候だ。それまでに、さらに上のティアを目指してより健康な社会を達成し、来たる冬の戦いに備える防御壁としたい。

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