シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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受刑者の釈放(規制緩和フェーズ2)

憂鬱なニュースをひとつ。

最近カリフォルニアで大きな話題になっているのは刑務所での感染である。刑務所は個人スペースが狭い。共有スペースが多い。室内で過ごすことが多い。換気に関してはよく知らないが、開いている窓はないだろうなと思う。そんな風に、ウィルスが入り込んだら拡大するリスクの高い場所であることは容易に想像できる。

シリコンバレーの2つ隣ぐらいの郡にあるSan Quentin刑務所では大規模クラスタが発生し、なんと200人のスタッフと1300人の受刑者が陽性と診断された。その大規模さに有名になってはいるが、クラスタはこの刑務所だけで発生しているわけではない。カリフォルニア全体の受刑者のうち2286人が陽性と診断されており、31人がすでに亡くなっている。さすがに何か手を打たなくてはいけないが、カリフォルニアの刑務所はどこもいっぱいだ。

そこで、住民としては非常に不安なのであるが、8000人以上の受刑者が来月に刑期よりも早く釈放されることになった。刑務所内でソーシャルディスタンスを取るためのスペースを確保するための苦肉の策である。

8000人の受刑者だ。確かにもうすぐ刑期が終了の者も多いだろう。しかし8000人となれば、刑期の終了がまだまだ先に者も含まれてしまいそうだ。

もちろん、釈放されない受刑者のカテゴリがある。死刑判決や終身刑判決を受けている者は釈放されない。当然だろう。近日中に刑務所で深刻な規則違反をした者も釈放されない。DV加害者、傷害暴行及び性暴力の加害者は釈放されない。

でも、じゃあ安心だなんていう人はいないだろう。窃盗、脅迫、麻薬売買、詐欺、横領、汚職、まだまだ様々な犯罪がある。いつかは釈放される受刑者であれば、今、釈放されても同じじゃないかと言う人もいるのかもしれないが、それでは有罪を勝ち取った被害者は浮かばれないし、何よりもそれだけたくさんの受刑者が一度に釈放されるという事実がすでにストレスだ。

わかっている。一度犯罪を犯したからといって、その者が同じことをするとは限らない。刑務所にいる間に悔い改め真っ当に生きていこうとする者もいるだろう。しかし、パンデミックの影響で経済的に不安定な今、刑務所を釈放されても仕事はあるのだろうか。受け入れてくれる家族はいるのだろうか。そもそも借りれる家はあるのだろうか。生活が成り立つのだろうか。

そのような状況で、生活に困り再び犯罪に手を染めてしまう者がいるかもしれない。

というような、背景を考えれば考えるほど、憂鬱なニュースだ。だからと言って、すし詰めの刑務所の中で、感染させとけとは言えない。まさしく人権問題だ。

さて、どうすればいいかな。わからないから、とりあえず玄関にセキュリティカメラを設置でもするか、と思う。でも、家を出ないから空き巣は入らないよなと考え直す。じゃあ、強盗!と考えると怖すぎるのでやめた。そこまで神経質にならなくてもいいか。いやでも、自動車泥棒なら十分ありえるよな。食料品の買い物の時とか、特に気をつけた方がいいよな。

一人ため息をついてニュースを閉じた。

 

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