シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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パワフルモーメント(規制緩和フェーズ2・次の緩和レベルまで残り3日)

とうとう6月がやってきた。シリコンバレーがロックダウンに入ったのは3月16日なので、2ヶ月半の長いロックダウン期間を経て、今週の金曜日から本格的な緩和への幕が開く。

これまでも少しづつ緩和を進めていたのだが、一般的にはわかりにくいレベルの変化だった。しかし、今週の金曜日、シリコンバレーは大きな緩和への一歩を踏み出す。

まず、レストランでの屋外の飲食が許可される。レストランが持ち帰り以外は完全に閉鎖された長い期間の経て、ようやく扉が開かれることになった。今の季節、カリフォルニアはパテオで過ごすのは気持ちいいので、誘われて人々が出てくるかもしれない。

また、これまで店頭ピックアップのみだった小売店での店内でのショッピングが許可される。いよいよ、本格的にショッピングがオープンされ、政府から支給された特別給付金の活躍が期待される。

それから、1クラス12人以内であればデイケアやサマーキャンプも許可され、教会でのイベントも25人以内なら許可されることになる。

一言で言うと、「人々が集まる」ことが許可されたのだと思う。ただし、マスクの着用とソーシャルディスタンスを守ることが条件だ。果たして、この条件付きで一体どれだけの人が外に出てくるだろうか。全く予想ができないが、その状態で何週間か様子を見て、感染状態が悪化しなければ、さらに緩和するのだと思う。

この規制緩和は、本来ならば、2ヶ月半間の間、半幽閉状態だったシリコンバレー住民にとってビックニュースのはずなのだけれど、ニュースサイトの片隅にポツンと貼ってあった。なぜなら、現在の米国はそれどころではないのだ

昨日も書いたのだけれど、先週の月曜日、1人のアフリカ系アメリカ人の警官の暴行により死に至った事件をきっかけに、米国の主要都市で大規模な抗議行動が起こり、その混乱に乗じて略奪や強盗事件が発生。米国は揺れに揺れ、とうとうシリコンバレーも7日間の夜間外出禁止令が発令されてしまった。もともとロックダウンのせいで夜出かける予定なんてほとんどないわけだが、それでも夜間外出禁止令が出たと言うのは緊張せざるを得ない。

実際のところ治安が悪化しているのはほんの一部の地域なので、全体的に夜間外出禁止にする必要はないのだが、外出禁止令によって、デモの参加者達を夜の間は少しでも家に返そうと言うのがメインの目的だと思われる。

デモ時の治安が悪化するのは通常夜中だ。ニュースの動画では、暗闇の中で、商店のガラスが割られ商品が盗まれてたり、警察車両が放火され燃えたりもしている。しかし、ここで誤解のないように書いておきたいのは、実際に略奪が発生しているのは、デモの大規模さから考えたら、本当にほんの一部なのである。にもかかわらず、そのような映像ばかりがニュースで流されるために、まるで、全米でデモに参加している人々による略奪が起こっているような印象を与えられる。これは、ニュース番組が刺激的な映像を好んで採用するがゆえの、作られた現実である。

確かにデモは全米で多発しているし略奪も起こっている。が、略奪はマスメディアから伝わるほどはたくさん発生していないし、多くの抗議者達は、略奪者達を非難している。略奪行為が抗議行動を失敗に導くであろうことは、多くの抗議者達に理解されているので、彼らはあえて平和的なデモの手法を選ぶのだ。

そして、あまり報道されない膨大な平和的な抗議行動は実に多彩であり、たくさんのパワフルモーメントを紡ぎ出している

何キロにも渡り道路を埋め尽くして行進をする人々、武装した警官達の前で膝づいて犠牲者の最期の言葉だった「息ができない」を繰り返しエールする人々、警官がデモ隊を先導して一緒に行進する光景、行進する代わりに道路いっぱいに広がってダンスのステップを一斉にふむ人々、街角で合唱をする人々、市長と警察官がデモ隊と一緒に跪いている光景。

実にたくさんの心を撼わす場面がある。そこには米国の良心と強い意志があり、人間性の肯定がある。どうかマスコミが刺激的な動画ばかりで埋め尽くされずに、多くの場所で実際に起こっている正しい抗議行動にももっと目を向けてもらいたい。

 

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