シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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前代未聞の卒業式(ロックダウン63日目・現時点の解除予定日まで残り13日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

米国で5月と6月は卒業の季節だ。

我が家のティーンエイジャーも6月にミドルスクール(中学校)を卒業するのだが、卒業式はオンラインビデオになるとすでに連絡が入っている。多分、今、学校のスタッフがそれぞれの家でビデオの撮影や編集に奔走しているだろう。通常の卒業式通りスピーチと卒業生の名前の読み上げをするらしい。証書は受け取りに行けないから、後日郵送だそうだ。

米国には入学式というものがないから、各学校の卒業式は生徒の成長を讃えるための特別な儀式で、生徒も親も楽しみにしている。なかでも、大学とハイスクールの卒業式は、ただの学校の卒業というだけではない。ハイスクールの場合は、卒業後、地元から旅立つ多くの若者にとって、大人への第一歩である。また、大学の卒業式に至っては、今後の人生を生きていく土台となる学位を授かり、社会的な大人の世界への壮行式でもある。

その大切な卒業式が今年は普通に開催ができなくなった。

多くの学校の卒業式は、我が家のティーンエイジャーの学校同様、オンラインビデオ化しているようだが、一部の学校では、個人にとって大切なイベントをユニークな形で実現しようとしているらしい。

例えば、学校の車回しを使い、車の窓越しに一人一人証書授与を行うことにしたハイスクールや、1家族決められた時間に学校を訪れる、広いグラウンドで家族とスタッフだけの卒業証書授与をしてくれるハイスクールもある。ちなみに、時間予約制での卒業証書授与は、なんと朝8時から夜8時までの長丁場で1000人近い卒業生一人一人に授与するという。

本来ならば、誇らしげに壇上で卒業証書をもらい、笑顔で友人たちと肩を組んで記念写真をとり、夜はプロムパーティで大騒ぎする。子供時代からの卒業の象徴であるどのイベントも実現できない生徒たちのために、学校サイドは可能な限り頭をひねってユニークな卒業式を実現しようとしているのだ。

大学の卒業式はどうだろうか。大学生は一応大人だから、学校サイドに何かをしてもらおうなんてそれほど考えていないようだ。シリコンバレーとサンフランシスコよりも少し北の小都市バークレーには、アメリカの公立大学の1位2位を争う歴史的な名門校であるカリフォルニア大学バークレー校がある。大学のロックダウンによる休校に伴い、バークレー校の卒業生や在校生のグループがオンラインゲーム、マインクラフトを使って、実在のバークレー大学にそっくりのブロックレー大学のキャンパスを構築したらしい。

キャンパスのゲートの前で音楽演奏をするバンドから、時計塔の上に巣を作り子育てをする野鳥まで、忠実に現実のバークレー校を再現したこのマインクラフトワールドは、大学の学生に解放されていて、マイクラフトのアバター達はいつでもが大学を訪れることができる。すでに話題になっていたブロックレー大学だが、本物のバークレー大学は、明日、このマインクラフト版キャンパスのグラウンドで、実際に開催されるはずであった卒業式を行うことにしたそうだ。もちろん来賓のスピーチもある本格的な卒業式である。

なんとも独創的、創造的な卒業式なんだろう。さすがバークレーだなあと感心し、米国の誇る頭脳の柔軟性とユーモアのセンスに心が軽くなったニュースだった。

 

 

 

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