シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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この矛盾を誰かに解いてほしい(ティア2)

10月が近づくにつれて、パンデミック関連のニュースはワクチンの承認時期と接種にシフトしてきている。10月中に承認され、素早く広く分配されると主張する現政権サイドと、早くても11月、12月に承認、その後の段階的摂取には時間がかかるだろうとする専門家サイドの意見のすれ違いが、どのメディアの見出しにもいっぱいだ。

それらの記事を読みながら、私にはどうしても納得できないことがある。共和党の大統領支持者の行動だ。選挙キャンペーンでの彼らの取材記事を読む限り、マスクをしないしソーシャルディスタンスもとらずにキャンペーンに参加している人が多く、その理由を聞くと、感染の心配をしていないからだという。パンデミックはでっち上げであるとか、ウィルスの危険性は大げさに報道されているだけで実はたいしたことはないとか、自分が死ぬか生きるかは自分の責任であるからルールは必要ないとか、そんな主張が多い。それはいい。各自の主張は自由だ。

ところが、近日の選挙キャンペーンで、優れたリーダシップと運営によりワクチンがもうすぐ完成して使用できるようになる!と、大統領が声を張り上げてスピーチをすると、聴衆たちは割れんばかりの拍手喝采で盛り上がるのだ。ウィルスが危険だと信じていないのにもかかわらず、そのワクチンの完成には盛り上がる。危険じゃないウィルスのワクチンなんて、はっきり言って彼らにはどうでもいいんじゃないだろうか。

最近のアンケート結果によると共和党支持者でワクチンを摂取すると答えた人は44%、つまり半数にも満たない。つまり彼らは、必要がないと思っていて摂取する予定もないワクチンの完成に対して、拍手喝采し、喜び、誇りに感じている。

これはちょっと意味がわからない。だれか、ぜひこの矛盾を解いてほしい。

ちなみに、5月の初期のアンケートでは、党派にかかわらず、72%の人がワクチンがあるのであれば摂取するつもりだと答えている。また、5月時点では42%の人が、「確実に」摂取すると答えていた。しかし、9月になって、「確実に」摂取すると答えた人はなんと21%に半減してしまったのである。

5月の時点からワクチンを摂取しないと決めていた人はおいておいて、5月から9月の間になにがあったのか。ワクチンを摂取しようという意欲がここまで急速にしぼんでしまったのはなぜだろう。

多くの米国人はその答えを知っている。

ワクチンがあまりにも早く開発され、かつ、その完成時期が政治に絡め取られてしまっているからだ。通常なら3、4年かかるワクチンの開発が7、8ヶ月で承認できたと言われれば、誰でも不安になる。その上、多くの専門家が10月中に承認されるのは無理があると言い続けているにもかかわらず、政権側はどうしても10月中に承認にこぎつけようとしている。大統領選挙が11月3日だからだ。そこには、子供でもわかってしまうような単純な関連性がある。この状態では、10月中に承認されるワクチンへの不信感を拭うのは難しい。

確かにワクチンは完成されているかもしれないが、それを証明するデータはじっくり検証されるべきだし、データの信用性も保証されるべきだ。その全てが揃ってからでなければ、人々が安心してワクチンを摂取することができない。

現政権の言うことを信じる支持者ならば、データをみなくても疑いなくワクチンを摂取することができるだろう。が、彼らの多くはワクチンを摂取する気は最初からない。なぜなら、彼らはパンデミックはでたらめか、大げさに宣伝されたただの風邪だと思っているからだ。

この社会情勢では、どんなに安全で効果があるワクチンが開発されたとしても、その最大の目的である集団免疫の獲得の達成は難しい。なぜなら、通常、国民の75%以上がワクチンを摂取することによって、初めて集団免疫を獲得できるといわれているからだ。

だからこそ、こんなに急いでワクチンをリリースする必要はないのだ。ワクチンは、早くリリースするという側面よりも、強固な信頼性を確立することのほうが大切だ。何年も検証されているインフルエンザの予防注射ですら、信用しないで摂取しない人々がたくさんいるのである。そういう人々も含めて説得できるデータと啓蒙活動により、世間の75%の人々に、たとえ自分自身には必要がなくても、社会の集団免疫のために摂取してもらえるような土台を用意していかなくてはならない。

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