シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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遠くなったけど、世界は狭くなった(ティア2)

カリフォルニア夕方5時、北京時間で朝の8時を迎えた人から仕事のチャットが舞い込んでくる。時差の関係でこういう時間ぐらいしか、効率の良いチャットができないので、夕方のタイミングはいつだって覚悟している。むしろ、午後6時じゃなかったことに胸をなでおろした、6時だったら晩御飯が落ち着いて食べられないところだった。

ああでもない、こうでもないとチャットで会話をしている間に、ピポピポと今度は日本から別のチャットシステムで質問が入って来た。日本と北京の時差は1時間しかない。カリフォルニアの人が中国や日本と連絡がとりやすい時間帯は、この時間帯だからしょうがない。2つの違う問題を、2つのチャットで同時進行する。電話や顔を合わせた会議ではできないけれど、テキストチャットなら誰でも割と簡単に聖徳太子になれる。

日本の人からチャットが入って来たのは6時ごろ。これじゃあ、やっぱり晩御飯は普通に食べられないということで、結局家人には先に食べるように告げる。

なんとか北京の問題をクリアし、ダイニングに一人分だけ残された晩御飯を10分でパパッと食べて、日本と続き。日本の一件が終わりそうだから、今日はこれで休めるってところで、北京の人が出て行ったチャットシステムに、ピロリンっとインドの人が入って来た。ああ、そうだった。インドとの時差はもっと厳しくて、カリフォルニアの夜8時すぎないと繋がらないんだった。その時間でやっとむこうは朝の8時なんだから。どこの人も、世界にちらばってる話し相手をつかまえるためにいろんな時間にコンピュータを開けてる。ため息。

という感じにロックダウン以降、世界はグッと狭くなった。

コンピュータ業界は多くの人が、世界中で在宅ワークをしている。在宅ワークの特徴は仕事をしている時間としていない時間の切り分けが難しいところだ。オフィスで働いていれば、オフィスを後にしてしまえば、基本仕事のコンピュータを開けないですむかもしれないところだが、在宅だとコンピュータはついつい開けっ放しだ。チャットで仕事がどんどん進行し始めると、それを途中で切るのは難しい。「家に帰らなくてはいけない」とか「子供を迎えに行かなくてはならない」というような、明示的な理由はなくなってしまったし。

ネットの反対側の人も同じで、パンデミック前には、現地時間の朝8時からチャットを始める人などいなかった。家で仕事をしているからこそ、朝早くから作業を始めることができるし、時差的に繋がりやすい時間にチャットをするタイミングを測って早朝から連絡を取れば効率的に仕事ができる。そんなこんなで今や、世界を股にかけた仕事のチャット進行が大流行だ。

パンデミック前も同じネットワーク環境はあったのに、こんな風にカジュアルにチャットが世界中を駆け巡ることはあまりなかった。時差のあると相手の出社時間も曖昧だし、とりあえずメールを書いて、翌日に返事を待つという姿勢が、仕事の通常モードだったように思う。どうしても話したいときは、オンライン会議時間を設定したものだ。

今は誰も彼も、ちなみに私も、とりあえずチャットを流すことが多くなった。もし相手が働いてなくても、働き始めたら答えがもらえるし、その時に自分がコンピュータの前にいれば、会話が成立するので進行がグッと効率的だ。

こんな風に世界のあちこちの人とごく普通に会話をしながら仕事をしていると、なんだか最近世界がえらく狭くなったな、と感じる。

プライベートでも、Zoom飲み会やお茶会などに代表されるオンライン集会が盛んになったため、以前よりもずっと頻繁に日本と会話をする機会が増えた。20年間会う機会がなかった同窓生と、オンライン飲み会で再開するなんていうのも、ロックダウンが生み出した副作用だ。こんな風に、プライベートでも、やっぱり世界が狭くなったなと感じる。

しかし、いざ本当に出かけるとなると、どこに行くのもとんでもなく遠い。なにしろ、ロックダウン以降、住んでいる街から出ることもすら滅多にない。1週間の90%近くを家のなかで過ごしているのだ。

毎日同じところにいるのに、毎日ネットで繋がってあっちこっちの人たちと話している。ネットワークのおかげでググッと狭くなった世界、パンデミックが生み出したNew Normalでは、バーチャル世界がそうとう大きな意味を持つようになった。これは多分、パンデミックが終わった後もこのまま続いていくだろう。

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