シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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ワクチン観光

非常におかしな記事を読んだ。フロリダの州の話だ。

なんとフロリダ州では、65歳以上であれば州の住民以外でもワクチンを接種できるという決まりにした。

なぜそんな決まりにしたのかと言うと、フロリダ州はその温暖な気候とビーチにより、州外のみならず国外の富裕層のセカンドハウスがたくさんある。また、引退した人々の隠居場所としても有名な州なので、親戚がフロリダに住んでいて、年に数週間はフロリダで一緒に過ごすという家族もいる。そのうえ、南米からの移民が多く暮らす州でもあるので、南米からも家族を訪ねてやってきて何週間も滞在していく外国人がいる。

彼らは一年のうち数週間や数ヶ月を定期的にフロリダに暮らすだけで、公式にはフロリダの住民でなく、時には米国民ですらない。しかし、そういう人々が短期間でもフロリダで生活をすれば、感染拡大に寄与する可能性は大いに高いので、とりあえず65歳以上であれば、州の住民以外でもワクチンを接種できるようにした、というのが表立った発表だ。裏は知らない。

しかし、このような発表をすれば、当然ながらフロリダに別荘や親戚を持っていなくても、ただの観光でやってきても、65歳以上ならばワクチンを接種することができるということになってしまう。実際にこの発表があってからというもの、フロリダへの観光客がふえているらしい。南米からは親戚を尋ねてくる人が増えているらしいし、カナダのチャーター飛行機会社によると、トロントとフロリダへの日帰りのチャーター飛行機の空きを確認する需要が急激に増えたらしい。日帰りチャータ費用は250万円から800万円ほどするというのだから、とてつもなく高額なワクチンを接種することになるわけだが、それでも需要があるという。旅行保険会社のデータでも、この冬にカナダからフロリダに旅行する人の数は増えているらしい。

この事態に地元のフロリダ州の住民は当然ながら反発している。ワクチンを打つためだけに、2、3日フロリダに来て、酷いときは日帰りで、ワクチンを接種する。そのワクチンはフロリダの住民のもののはずなのにと抗議の声がアチラコチラで起こっているようだ。当たり前だと思う。

これはあまりにも不公平な話だ。フロリダまでワクチン観光に来れるような人々は相当な富裕層であるのは容易に想像ができる。つまり、この制度を使えば、お金のある人は優先的にワクチンを接種できるという体制が、なにげにできあがってしまっているのである

よく知られているようにCOVIDで一番死亡しているのは、経済的に厳しい層の人達なのだ。彼らの仕事や住環境や基本疾患の影響で、感染率は非常に高く、死亡率もとてつもなく高い。そういう階層の人たちこそ、先にワクチンを受けるべきなのに、彼らまでワクチンが行き渡る前に、富裕層がふらりと飛行機で飛んできて、ワクチンを接種して帰っていく。住民たちは毎日のように病院に電話を入れてワクチン接種の予約を入れようとしても、電話つながらないとか、折り返してかけるというメッセージがながれるだけだったりするというのに。

これは本当にひどすぎる。富裕層ほどワクチンがなくても感染予防の様々な対策をたてることができ、リスクが低いのに。そんな社会のことは深くかんがえず、コレ幸いと州外からフロリダに飛んで、ワクチンを接種して満足気に帰っていくというのだ。

世の中があまりに不公平すぎて、開いた口が塞がらない。

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