シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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スポーツ選手たちの葛藤

今日は、米国で最初のワクチンの接種が始まったり、往生際の悪い騒ぎを起こしている大統領選挙の結果が選挙人投票によって、バイデン氏の勝利が更に確実になったとか、ニュースは大賑わいでだったが、そういうニュースは簡単に日本語でも読めるはずなので、この日記では超ローカルにいこうと思う。

さて、今日、カリフォルニア州政府はロックダウンの規制に新たな具体性を付け足した。青年と大人のスポーツの取り扱いだ。なぜ突然、こんな規制が細かく明記されたかというと、たぶんそれはアレのせいだ。数日前から気になってたあのニュースだ。

サンタクララ郡のあるプライベートのバスケットボールチームと別の郡のいくつかのバスケットボールチームが、州の規制を無視してトーナメント大会を開催した結果、選手、コーチ、大会運営スタッフ、その家族など100人近いクラスタを構成してしまったのだ。私がニュースを読んだ時点で100人弱だったから、今はもう少しクラスタが広がっている可能性もある。まさしく、この日記でも何度も書いてきたスーパースプレッダーイベントというやつだ。屈強ない若者が多いイベントなので重症者はでなかったかもしれないが、現在感染が急速に拡大しているサンタクララ郡の感染を更に広げたのは間違いない。

日本も同じなのかもしれないが、米国のミドルスクールやハイスクールの学生たちとその家族の間でのスポーツ熱はすごいものがある。本人ももちろんだが、親の熱もすごい。実はこれには理由がある。実はハイスクールでスポーツアクティビティに参加し、ある程度の結果を残したり、結果を残してなくてもキャプテンを努めていたり、もしくは、何年もただのレギュラーであったとしても、スポーツ活動で人間性と根性を磨いてきたという事実は大学の進学に有利に働くのだ。そのため、子供は幼い頃からいろいろなスポーツにトライしているし、見込みがあるものには惜しげなく投資する親も多い。そんな親子は、そのスポーツのシーズンがやってくると、毎日練習と試合が中心の生活になる。試合も週末に車で何時間も遠征するのが普通なので、家族ぐるみの活動にならざる得ない。

また、ハイスクールで人気スポーツチームの一員でいるのは一種の特権で、人気スポーツチームに入るにはトライアルがあり、ある程度うまくなければチームにも入れない。ということは、人気スポーツのチームに入っていればすでに学校の人気者グループの一員になったようなものだ。ちなみに米国のハイスクールで一番人気のスポーツは、フットボール、バスケットボール、次がサッカー、その次が野球、バレーボール、その他という感じになる。水泳や水球もそれなりに人気があると思うが、やはりダントツはフットボールとバスケットボールだ。

さて、パンデミックの世界になって、これらの花形学生たちはできることが激減してしまった。大学入試のために結果を残すための時間もだ。大学入試のためにハイスクールの結果を提出できるのは最初の3年間だが、すでに1年近くもろくに活動ができていない。プライベートチームでも許可されているのは基本練習だけだし、練習もソーシャルディスタンスを保つことが条件となっている。好きなスポーツができない。体はなまる。チームメイトとも集まれない。なによりも、熱くなる試合ができない。

そんな折に、パブリックチームが集まって自分たちだけでトーナメント大会をこっそりやろうと発案したのだとしたら、多くの学生達は喜んだだろう。しかし、その親までもリスクを承知で参加を許可して協力したというのはちょっと問題だ。たしかに、家で元気無くだらけている子供を見るのは忍びなかっただろうが、バスケットボールのような明らかに距離が近く、顔が近く、息があがるスポーツの大会への参加を子供に許可したとうのは少し驚きだ。そこまでウィルスの蔓延を信じていなかったということなのだろうか。’

とにかく、彼らは大会を開き、大型クラスタを形成した。なんとも愚かな話である。

さて、これを受けてだとしか思えないのだが、カリフォルニア州はこれまでも規制していたスポーツの規制の曖昧な部分を細くすることによって、どのようなスポーツならどのような体制で許可されるのかを明確にした。スポーツを一斉に禁止するのは不健康だから、住民へのスポーツは推奨したい。しかし、スポーツを通した感染は回避したい。

そこで、カリフォルニアの4段階の規制緩和のためのティアシステムを使って、どのティアであれば、どのスポーツが許可されるかを明記し、かつ、スポーツ中は常にマスクをするようにと規定した。どんなに息が乱れるスポーツでもである。厳しい。

ちなみに、どのようなスポーツが許可されるのかというと、一番規制が厳しいティアでは主に選手がお互いに近寄らないでもできるスポーツが野外でのみ許可されている。テニス、ゴルフ、水泳、陸上などが良い例だ。

二番目に厳しいティアでは、これに野外でできるチームスポーツで、かつ人間同士のコンタクトが少ないスポーツいくつが加えられる。たとえば、野球、ドッジボールなどだ。面白いところでは野外でのジムナスティックというのがあるが、野外でなにができるのかはよくわからない。また、ラクロスは女子だけが許可される。

三番目のティアでは、これに更にコンタクトが多いスポーツであるバスケットボール、フットボール、バレーボール、サッカー、水球などが野外でのみ許可される。ここにきてラクロスは男子も許可されるところがちょっとおもしろい。そして、このティアではとうとう室内のスポーツが少し許可される。たとえば、室内のジムナスティック、バドミントン、スケートなどである。

そして、最後、一番規制のゆるいティアになって、初めて室内でのバスケットボールやボクシング、レスリングなどが許可される。

細かい内容と規定を全部読む気にはならなかったが、とにかく細かく決まり事がしてあって、現在カリフォルニアのほぼ全土が一番厳しいディアであるため、まあ、チームスポーツは全面的にだめですということがよくわかった。この状況はたぶん数週間、下手をすると数ヶ月続く可能性がある。スポーツを愛する人々には本当に気の毒だが、すでに大型クラスタが発生したことを考えて、しょうがないと思ってもらうしかない。

我が家にもハイスクールの学生がいるが、もともとスポーツには興味がなかったため「スポーツやってるやつはスポーツやらないやつをバカにする傾向があるけど、パンデミックになってわかっただろう。スポーツだけやっててもだめなんだってさ。」と呑気に鼻歌を歌っている。

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