シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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悩める床屋(ロックダウン69日目・現時点の解除予定日まで残り8日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます。

昨日、カリフォルニア州のニューサム知事は、数日以内に床屋、ヘアサロンの営業再開を予定していることを発表した。カリフォルニア州は規制緩和のフェーズ2に入ったばかりだということを考えると、本来ならフェーズ3に入っている床屋とヘアサロンの営業再開の許可をこの段階で出すのは、ビジネスからの要求だけではなく住民からの要求も高かったことがうかがえる。

ニューサム知事自身もこの2ヶ月ですっかり髪が伸び、もともとオールバックだったために前から見た姿は目立たないのだが、ちらりと頭の後ろが映った時の襟足の長さは相当なものだ。彼の幼い娘がクラフトで使うハサミを持ってきて切ってあげようかというほどらしい。彼は丁重にお断りしたそうだ。

我が家の住民も髪が伸び放題だ。あまりに長いのでティーンエイジャーの髪を、すきバサミで切ってみたら、右と左の長さが全く違うおしゃれじゃないアシメントリーなヘアスタイルができあがった。非常に申し訳なく思っている。

自分も生え際の白髪があまりに気になるので、薬局で買ってきたヘアカラーで生え際だけ染めてみたところ、生え際の色とそれ以外の色が全く違うという、これまた望まないバイカラーなヘアスタイルになった。やはり素人には厳しい世界だ。

規制緩和が進んできたと言っても、まだ新規感染者は発表され続けていることを考えれば、そうそう浮かれて街に出かけたり、遠出したりする気にはなれない。そもそも、レストランでの飲食も、家族以外の人間と集まることも許可されていないような状況なので、これまでの規制緩和が私の生活を変えることはほとんどなかったのだが、それでも、床屋とヘアサロンは別だ。開いたら、さすがに出かけてしまいそうな気がする。

どのタイミングで予約を取ろうか、などと真剣に考えていた昨日、一足先に規制を緩和して、5月の半ばからヘアサロンが営業されていたミズーリ州スプリングフィールドから水をさすニュースが上がってきた。

某ヘアスタイリストが感染症状があるにもかかわらず、5月12日から20日までの間に84人の顧客に対してサービスを行なっていたというのだ。それらの顧客たちは現在感染テストを受けているそうである。

なぜだ?なぜ、これだけ情報が出回っている今、具合が悪いのにもかかわらず仕事をした?ただの風邪だと思ってた、なんてそんなことはないだろうに?本人も職業がら、他人への感染リスクが高いことはわかっていただろうに。それとも、全くニュースを読まない人なのだろうか。

発表を行なったスプリングフィールドの保健局の責任者は、こういう事態は起こってはならないことだとコメントし、コミュニュティの一員として責任ある行動を取るように呼びかけていた。

こんなニュースを見てしまうと、やっぱりヘアサロンが開いてもしばらくは行かない方がいいのかもと思ってしまう。長年の馴染みのヘアスタイリストさんは信用しているけど、彼も気づかずに感染しているかもしれいないし、彼じゃなくてもそのサロンにいる誰か別の人が感染しているかもしれない。

ここのところ急激に共有されたたくさんの感染経由の情報からわかったことは、同じ室内に長い時間止まることが感染のリスクを高めるということだ。たとえウィルスが飛び回っている空間に入っても、そこに長く止まらなければ感染するほどのウィルスを体に取り入れることはないのだが、長くいれば長くいるほどウィルスをたくさん体に取り混んでしまい、感染の確率は高くなっていく。ヘアカラーはヘアカットと違って時間がかかる。まさしく、同じ空間に長い間止まる典型的なシチュエーションとなるのだ。

出鼻を挫かれた感じだ。やっぱり、ヘアサロンが開いても、しばらくは行かずに、明らかにおかしなバイカラーヘアで過ごすしかないのだろうか。それとも、いっそのこと自分で全体的に違う色で染め直せばいいのだろうか。

今やロックダウンは、何がよくて何がよくないのか、何が安全で何が安全じゃないのかは、本人が決めるという段階に入り始めている。周りの人々も徐々に緊張が緩みだして、2ヶ月も友達に会っていなかったかわいそうな子供達を友達と遊ばせるというオプションを早くも考え初めている人もいる。

このまま夏を迎えて、再び感染者の波が大きくならないように、私たちができることはなんなんだろう。

感染者が出た時に、その人の過去の行動から接触者を追っていく仕事をトレーサーというのだが、規制緩和を受けて人々の行動力が広がれば、トレーサーの仕事も多くなる。そのため、サンタクララ郡の保健局は現在トレーサーのボランティアを大募集中である。最大に必要なスキルは、コニュニケーション能力だ。

私ももう少し英語が上手かったら、ぜひ申し込むところだが、残念ながら私の英語ではアクセントが強すぎて電話の反対側にいる人がかわいそうだ。外国語が話せる人も募集しているが、必要とされているのはスペイン語とベトナム語なので、私はどうやっても役に立てそうにない。

しょうがないので、やっぱりあまり出かけずに家にいることにしよう。これは、クラスタを発生させることも、知らぬ間にクラスタの一部になることも避けられる一番確実な方法なのだ。

 

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