シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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消毒するか、しないか、それが問題だ(笑)(ロックダウン40日目・現時点の解除予定日まで残り9日)

どこかの誰かが、ウィルスを殺すために消毒剤を体内に注射するというのはどうだろうかという奇妙な提案をしたようだ。また、強い光や熱をあてることで治療できるのではないかということも考えているらしい。

前にも書いたけれど、噂を広める人には悪意はない。が、世の中には、根拠のない噂が伝わることで危険に晒される人がいる。どのような噂を聞いた時も、そのソースを確認するべきだ。確認した結果、信頼できないソースであった時は、どのような噂でもその拡大をストップさせた方が良い。

米国で昨日から盛り上がっているこの噂の出どころはちょっと珍しくて、ソースが信頼できるかどうかは意見が別れるところだろうが、噂そのものが信じられない内容だから、これで命の危険に晒される人はいないと思いたい。たぶん。

という話は置いておいて、今日書こうと思ったのは、食料品の買い物から帰ってきた時に、食料品の表面やパッケージを消毒するか、しないか、という米国でも迷っている人が多い話題だ。

調べて見ると、消毒した方がいいというソースも消毒する必要がないというソースもそれなりに信頼性がある。

まず、消毒した方がいいという意見を見てみよう。メジャーなニュースや情報番組で、食料品の表面やパッケージを消毒する方法などを特集している。そういう番組では、消毒した方がいいとは一言も言わないのだが、「みなさん心配ですよね。それでは消毒する方法を紹介します」と番組を進行するので、消毒するべきなのかなと思わされる。また、医療関係者が個人的にYouTubeで食料品を消毒方法を紹介している動画がある。現場の医療関係者が真剣な顔で伝てえる動画は実に説得力がある。でも、よく考えてみると、彼らは現場の人間ではあるが、ウィルスの感染経路を研究しているわけではない。感染リスクの高い医療関係者としては、感染の可能性をできる限り低くしたいのは当然なので、限りなくウィルスを排除するという心理が生み出した情報であるとも考えられる。

では、消毒をしなくてもいいという意見はどうだろう。FDAはウイルスが販売されている食料品の安全性に脅威を及ぼしている証拠はないとの見解を示している。しかし、この言い方が絶妙に微妙で、食品を介して感染する可能性がないとは言い切っていない。ただ、その可能性は非常に低いとは言っている。

たとえば、感染者が触れた食品のパッケージが食料品店の棚にあるとして、健康な人がそのパッケージから感染するには、感染者が触ったスポットと全く同じスポットを偶然触る必要がある。また、その偶然の結果、パッケージを介して手にウィルスがついたとしても、その量は飛沫感染などに比べればごくごく少量である。そのごく少量のウィルスが、体内に取り込まれる可能性はさらに低い。特に現在のように、頻繁に手を洗うことが推奨されている場合は、その可能性は相当に低く、そのような感染は普通の経路ではないとしている。微妙すぎる。消毒する必要はないと言いつつも、ごくごく低い可能性でパッケージにウィルスは存在するとも言っている。

どっちのソースを調べても、結局迷うじゃないか。

ちなみにFDAの担当者は「私は食料品を自宅に持ち帰った際、包装の外側を消毒はしない」とも説明しつつ、「やりたいのなら包装の表面部を消毒したり空気乾燥させることも出来る」とも言った。

一般人を一層迷わせている。

FDAの情報は専門家の見解なので信頼性はぐっと高い。多分消毒する必要はないのだろう。しかし、その彼らでさえ、「やりたいならやってもいい」となどと言うから、ニュースやYoutubeで消毒方法を見ている一般人は、多いに迷ってしまうのである。

買い物に行くたびに、買ってきたものの表面を薄めた消毒薬で拭く作業は非常に面倒だ。また、野菜や果物は消毒できないし、生野菜を食べる前に石鹸で洗うこともできない。結局は、「誰が触ったかわからない食品だから消毒しなければ食べない」なんてことは完全にはできないのである。そう考えると、消毒できるものだけを一生懸命消毒しても、生野菜は水洗いでバリバリ食べているのならあまり意味がないような気もする。

また、食料品のパッケージの消毒に神経質になりすぎて、消毒剤の一部が体内に入り食中毒を起こして病院に運ばれたと言うニュースがあったり、ウィルスを恐れて野菜や果物を食べなくなることで食生活が偏り健康を害する可能性があると伝えるニュースもある。

もう、何がなんだかわからないので、やっぱり食料品のパッケージの消毒はしなくていいな思いつつも、実際に買い物から帰ってくると、ため息をつきながら薄めた消毒薬でパッケージを拭いている自分に、思わず苦笑いをするのである。

 

 

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